女子中高生のTwitterやLINEで「企画」が飛び交っていることをご存知だろうか。企画とは、彼女たちが考えたイベントであり、多くの場合、先着あるいは抽選でプレゼントも用意されている。「2016年ありがとう企画」「新年特別企画」「お正月企画」など、年末年始には特に企画が増えていたので見かけた方もいるかもしれない。
典型的な企画は次のようなものだ。
「お正月企画☆ 自撮りメッセか手書きメッセほしい人いる?いないかな?(汗) 何人応募してくれるかわかんないから締め切った時に人数とか決めるね~。 締切は明日の7時まで。結果が出たら当たった子にリプ送ります!」
「☆アイコンプレゼント企画☆ アイコン画像を作ってプレゼントします。31日までのらぶりつ(=「いいね」とリツイート)を対象に抽選します。フォロワーさん増やしたいからタグ(=ハッシュタグ)します。 #絵描きさんと繋がりたい #らぶりつください #絵描き」
同じ企画をTwitterとLINEの両方で投稿し、Twitterではらぶりつ、LINEではスタンプを求めている例も多い。女子中高生はなぜTwitterやLINEで企画をするのだろうか。行動からわかる理由と心理、起きうるトラブルについて考えていきたい。
女子中高生が「企画」と言うとき、その目的の多くはフォロワーを増やすことや友だちとの交流を増やすことだ。彼女たちは、企画によってアカウントを盛り上げなければならないと感じているのだ。実際、プレゼントがあるため、多くの場合は他のツイートや投稿よりも反応率が高くなる。
mixiで「足あと1万人目は◯◯さんです!お礼にご馳走します!」などの企画を見たことがある人も多いだろう。これも根っこは同じだ。見にきてくれている人のためにイベントを企画して、自分のmixiアカウントを盛り上げよう、普段から見てくれている人たちに感謝を示そうという行動だ。
「もっと見てほしい」という願いと、「いつも見てくれてありがとう」という感謝がこの行動につながっているのだ。
企画投稿におけるプレゼントにはいろいろな種類がある。オリジナルイラスト、加工画像などを作ってプレゼントするという実用性があるプレゼントは、大人でも理解しやすいだろう。
一方、中高生に特徴的なものは、「自撮りメッセ」と「手書きメッセ」だ。自撮りメッセは、自撮り写真に相手へのメッセージを書き込んだもの。手書きメッセは、手書きのメッセージを写真に撮ったものだ。学生時代に友だちとお互いに手紙を送りあった経験がある人も多いだろう。自撮りメッセと手書きメッセは、その現代バージョンというわけだ。コミュニケーションはすべてネットで済む現代だからこそ、手書きという一手間に価値があるのだ。
実物を見たい人は、ぜひTwitterかGoogleなどで「自撮りメッセ」や「手書きメッセ」で検索してみてほしい。なお、手書きの方が気持ちが伝わる、検索対象から外れるなどの理由からか、Instagramでも「#手書き」「#手書きツイート」などのハッシュタグ付きで、手書き投稿写真が多数みられる。
自撮り写真をプレゼントするというのは大人にとっては不思議な気がするが、自分の自撮り写真を顔文字代わりに使う子もいるくらいだ。セルフィーは中高生にとってまったく特別なことではない。自撮りメッセは、顔が見えるコミュニケーション程度の意味なのではないか。実際、もらった子たちは自撮りメッセを「可愛い!」と喜んでおり、相互コミュニケーションはうまくいっているようだ。
自撮りメッセというと“自撮り”に注目してしまうかもしれないが、本当に重要なのは「メッセ(=メッセージ)」の方だ。プレゼントの中には、「長文リプ」というものもある。自撮りメッセも手書きメッセも長文リプも、2人の出会いや、相手への気持ちなどが綴られていることがほとんどだ。つまり、相手とのつながりが感じられたり、相手からの思いが感じられるからこそほしいというわけだ。
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