パナソニックは2月2日、2017年3月期第3四半期(2016年10~12月)の決算を発表した。為替の影響を受けたものの、車載電池の伸長やテレビ事業の収益改善により、実質ベースでは増収増益となった。
売上高は前年同期比3%減(実質ベースでは3%増)の1兆8826億円、調整後営業利益は同12%減の1076億円、営業利益は同5%増の976億円となった。
パナソニックでは足元の円安環境を受け、2016年10月に下方修正した年間業績見通しの上方修正を発表。為替レートを1ドル108円(10月時点では103円)、1ユーロ119円(同114円)とし、売上高が7兆3500億円(10月時点では7兆2000億円)、調整後営業利益は3400億円(同3200億円)、営業利益は2650億円(同2450円)とした。
パナソニック代表取締役専務の河井英明氏は「為替の影響は確かに受けている。10月時点では1ドル100円で見ており、そのため業績見通しを下方修正したが、第3四半期では109円、このままいけば第4四半期は110円ベースになると思っている。今回の上方修正は完全に為替の影響によるもの」とした。
セグメント別では、洗濯機や冷蔵庫が増販したほか、4Kテレビなどの高付加価値商品シフトにより収益性が改善したアプライアンスが、売上高6883億円となり、実質ベースで前年同期比4%増。セグメント利益も同62億円プラスの313億円となった。
一方、エコソリューションは、ソーラー事業が国内で縮小し、販売量が減少したものの、水回り新商品効果などがあったハウジングシステムの増収により、売上高は前年比ほぼ横ばいの3928億円、セグメント別利益は252億円。AVCネットワークスは、増販や高付加価値商品へのシフトが成功し、収益性が改善。売上高は2591億円で前年比ほぼ横ばい。セグメント利益は158億円で、実質増益となったが、為替の影響を受け全体では減益となった。
自動車販売が好調だったオートモーティブ&インダストリアルシステムズは、車載カメラ、センサ、スイッチなどが堅調に推移したほか、車載向けリチウムイオン電池の大幅な伸長などもあり、売上高は実質ベースで5%増の6525億円、セグメント利益も同31億円プラスの204億円となった。
第3四半期累計(2016年4~12月)では、売上高が前年同期比5%減(実質ベースで2%増)の5兆4224億円、調整後利益は同19%減の2761億円、営業利益はほぼ横ばいの2757億円としている。
記者会見で、同日報道のあった「20時までの退社」を促す働き方改革についての質問が飛ぶと「2016年度初めから働き方改善の取り組みを積極的にやっている。長時間労働が昨今の社会問題になっているが、パナソニックとしてはそうならないよう、全社的に取り組むため社長通達の形で発信した。ただ、時間を区切ると今まで通りの仕事のやり方では収まらなくなる。内容を変える、やり方を変えるなどしていかないといけない」(河井氏)とコメントした。
また、米国子会社「パナソニック アビオニクス」のアビオニクス事業に関して、司法省と証券取引委員会から、連邦海外腐敗行為防止法と米国証券関連法に基づく調査を受けていることについては、「現時点では何も申し上げられない。調査については全面的に協力している」とだけ話した。
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