パナソニックは10月31日、2017年3月期第2四半期(7~9月)の連結決算を発表した。為替の影響が大きく、売上高は実質ベースでは前年並みとなったものの、前年同期比8%減の1兆7650億円、調整後営業利益は為替や固定費増に加え、2015年度特需の反動を受け、同33%減の872億円の減収減益となった。調整後営業利益は、IFRS(国際財務報告基準)において、売上高から売上原価と販売費、一般管理費を控除して算出した指標になる。
ソーラー事業の減販や、中国市況の低迷が響いたハウジングシステムなどを持つエコソリューションズ、熊本地震の影響を受けた映像・イメージングやアビオニクス事業の前年度特需の反動を受けたソリューションなどのAVCネットワークスが減益となった。
なかでもソーラー事業は、国内市場の縮小や価格下落の影響を受け減収。「材料合理化などで改善を目指したが、大きな改善には至らなかった」(パナソニック代表取締役専務の河井英明氏)と厳しい市況を伺わせた。
為替の影響については、「急速な円高により、一時は100円を切るのかと心配したが、最悪の事態は避けられた。為替は動くものと考えなければ経営はできない。ここを再認識しないといけないと思っている」とパナソニック代表取締役社長である津賀一宏氏はコメントした。
ソーラー事業などは落ち込んだものの、白物家電関係は好調だ。エアコンが日本、アジア、欧州で拡販したほか、中国では販売を改善。国内での「プレミアム戦略」も引き続き人気を得ている。
津賀氏は「業界全体が対前年比98%程度で推移するなか、パナソニックは140%程度と、業界を上回る伸びを見せている。若年層、30代のファミリー、シニア世代と、丁寧に訴求していることが、売上に結びついたと感じている。単に高いものを売りたいではなく、お客様が求めているものを提供できなければ、長続きはしない」とプレミアム戦略について話した。
パナソニックでは、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、インフォテイメントシステム、二次電池、パナホームの6事業部とテレビを「大規模6事業部・テレビ事業部」として、現状を報告。津賀氏は「エアコン、ライティングは5%以上の利益率を達成し、利益を牽引している。インフォテイメントは5%以上の利益になる見通し、ハウジングシステムとパナホームはもう少しで5%に手がとどくところまで来ている。しかし二次電池に関しては、大きく投資を重ねてきた高成長事業として位置づけているので、単純に5%を目指すというわけではない。テレビについては、黒字化し、5%をどう目指すかというところに近づいている」と各事業部についてコメントした。
また、米テスラモーラーズとのソーラーに関する協業については、「パナソニックと考えが近いので、さまざまな分野で一緒にやっていきたい」(津賀氏)とコメントした。
パナソニックでは、第2四半期の決算と足元の為替や市況などを踏まえ、売上高は前回発表予想の7兆6000億円から7兆2000億円、営業利益は3100億円から2450億円へと連結通期業績予想を下方修正した。
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