原因はやはりバッテリだった。だが、そう単純な問題ではない。
サムスンは米国時間1月22日に記者会見を開き、同社のスマートフォン「Galaxy Note7」の初期ロットと交換用端末の両方が過熱する原因は、バッテリにそれぞれ別の欠陥があったためだと発表した。
最初のバッテリには設計上の欠陥があったという。バッテリのケースが内部の部品に対して小さすぎたため、ショートが起きて発火していたのだ。
一方、リコール後のバッテリは別のサプライヤーのもので、同じ欠陥はなかったと、サムスン米国部門の製品戦略とマーケティングを統括するJustin Denison氏は記者会見前のインタビューで説明した。交換端末向けに十分な数のバッテリを製造しようと急いだため、サプライヤー側で製造上の欠陥が生じ、同じ結果を招いたのだという。
この説明でGalaxy Note7爆発の謎は解明されたが、苦境に立つ同社は新たな課題を抱えることになった。2度のリコールを実施し、極めて評価の高い製品の製造中止に踏み切るという失態続きの数カ月が過ぎた今、いかにしてユーザーの信頼を取り戻すかということだ。22日の記者会見は、信頼回復に向けた一連の活動の出発点となるものだった。同社は間もなくフラッグシップスマートフォン「Galaxy S8」を発表するとみられているほか、年内に次のNoteシリーズのリリースが控えているとされる。
「私にとって、苦しい危機だった」。サムスンのモバイル部門の責任者D.J. Koh氏は、記者会見前のインタビューでこう語った。入社以来の33年間で最悪の期間だったという。
22日の会見にはKoh氏のほか、第三者テスト機関UL、Exponent、TUV Rheinlandも出席しており、3社ともサムスンとほぼ同じ結論に達している。
Noteシリーズはサムスンの1番の売れ筋製品というわけではないが、同社にとって重要なデバイスだ。毎年発表される2大フラッグシップの1つであり、特にGalaxy Note7は、2016年9月に発売されたAppleの「iPhone 7 Plus」の対抗機種という位置付けだった。サムスンは、300万台のリコールというGalaxy Note7の大失敗で、損失額は50億ドルを下らないと見積もっている。その額に信頼失墜による影響は含まれていない。信頼回復には何カ月も、場合によっては何年もかかる可能性がある。
サムスンにとって2017年最大の使命は、消費者の信頼を取り戻すとともに、顧客や潜在顧客に向けて、同社デバイスの安全性と問題の再発防止をアピールすることになるだろう。米CNETの取材に応じた同社幹部によると、最初の一歩として透明性が有効だと期待しているという。
「これを適切にやれる企業は、平均18カ月で評判が回復に向かう。サムスンは信頼回復に向けて動き出しており、回復は可能だと思う」。ジョージタウン大学マクドノービジネススクールのThomas Cooke教授はこう述べている。
2016年8月中旬のGalaxy Note7発売直後から、過熱の問題が報告され始めた。サムスンは当初からこの問題をバッテリの欠陥と結び付け、市場のGalaxy Note7全端末についてリコールを発表した。だが、それでも問題は解決しない。交換用の端末でも過熱が起きたからだ。10月には異例の2度目のリコールを実施し、Galaxy Note7の製造を中止。そこからは問題の原因究明に注力していく。
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