サムスン信頼回復への取り組み--「Galaxy Note7」発火問題 - (page 2)

Shara Tibken Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年01月24日 14時08分

 サムスンは、Galaxy Note7の調査に別のアプローチで臨んだ。人海戦術だ。スマートフォンの製造拠点である韓国の亀尾市、ベトナムのハノイ、中国の恵州と天津にテスト施設を建造。この4カ所をあわせると、バッテリを取り付けたGalaxy Note7端末が20万台以上、バッテリ単体が3万個以上テストされている。モバイル部門から700人以上のエンジニアがこのテストプロセスに専属で配置された(サムスンのエンジニアは全社で7万人を超えるが、各部署に分散している)。

 エンジニアらはソフトウェア、ハードウェア、製造プロセス、品質保証テスト、サプライチェーンについて調べた。虹彩スキャナやソフトウェアのアルゴリズムが過熱の原因なのか、それともデバイスの高速充電機能が影響しているのかが調査された。

 最初は空振りだった。「この段階では、ハードウェアにもソフトウェアにも、またプロセスやロジスティクスにも、原因らしきものは見当たらなかった」。Denison氏はこのように語る。

 そこでサムスンは、バッテリ自体に注目する。テストプロセスを通じてずっと、デバイスに装着した状態でも単体でも、バッテリを過熱させることはできていたからだ。

 Galaxy Note7のバッテリは、2社のサプライヤーから供給されていた。Galaxy Note7専用の特別製で、電圧や寸法などの仕様はサムスンが指定していたが、バッテリの設計と製造はサプライヤーの裁量に任されていた。「開けてみればわかるが、バッテリAとバッテリBは別のバッテリだ」(Denison氏)

 サムスンはサプライヤー2社の名前の公表を拒んでいるが、米消費者製品安全委員会(CPSC)によると、最初のリコールの原因となったバッテリを供給していたのはSamsung SDI(サムスン電子とは別会社だが、親会社は同じくサムスングループ)だという。一方、香港に本拠を置くAmperex Technologyは、もう1社のサプライヤーであることを同社サイトで認めている。Amperexからコメントは得られず、Samsung SDIの関係者は広報担当者が今すぐには応じられないとの回答だった。

 サムスンは、最初のサプライヤーのバッテリ(「バッテリA」と呼ぶ)に関して、設計上の欠陥が原因でショートが起きることを突き止めた。このサプライヤーが作ったパウチ(バッテリの外部ケース)には、通常の充電放電サイクルを繰り返すときにバッテリが膨張、縮小できるだけのスペースがなかった。そのために正極と負極が接触し、ショートを起こしたのだ。

 (当初の一部の報道では、サムスンの端末自体に、バッテリが膨張するスペースがないのではと推測されていた。そうではなかったが、サムスンは今後のデバイスでバッテリ用の内部スペースをもっと広くとる計画だ)

 2社目のサプライヤーが供給した「バッテリB」の場合、欠陥は製造と品質管理の問題に関するものだった。最初のうちは、このサプライヤーのバッテリは初期のGalaxy Note7で正常に動作していたが、サムスンからの注文が増え、バッテリ供給元がこの1社となった結果、エラーが発生するようになった。超音波溶接の処理後に突起が残ってしまい、バッテリがショートする原因になったのだ。

 サムスンが2社目のサプライヤーに製造を依頼した新しいバッテリは、およそ1000万個。「結局、それだけの数を十分な品質で製造することはできなかった」(Denison氏)

サムスンの現在の取り組み

 Galaxy Note7をめぐる大失態でサムスンに投げかけられた最大の疑問の1つは、品質保証のプロセス(スマートフォンの出荷前に実施するテスト)で、なぜ問題を発見できなかったのかということだ。

 バッテリAで問題を発見するにはX線テストを実施する必要があっただろう。バッテリBのエラーを見つけるには分解しなければならなかったはずだ。どちらの工程もサムスンの通常のテストプロセスには入っておらず、バッテリメーカーに任されていたとKoh氏は述べる。

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