パナソニックがコーヒーサービス事業に乗り出す。家庭用コーヒー焙煎機と専用スペシャルティ豆、焙煎プロファイルをワンセットにした新サービス「The Roast(ザ・ロースト)」として提供を開始する。
「パナソニックの調理家電、厳選食材、プロの匠の技とIoTを掛け合わせることで何かできないかと考えたのが今回のThe Roast。パナソニックとして新しいビジネスモデルに挑戦する」――1月19日に開催された発表会で、パナソニックアプライアンス社事業開発センター所長の岩井利明氏はこう宣言した。
The Roastは、専用の生豆を「スマートコーヒー焙煎機」で焙煎することで、焙煎したての味と香りを楽しめるサービス。焙煎時には、生豆のパッケージに記載されたQRコードをスマートフォンで読み取ることで、焙煎プロファイルを入手。Bluetooth経由で焙煎機にプロファイルを送信することで、豆の特性に合わせた焙煎ができる。
コーヒー輸入商社の石光商事が生豆を厳選し、焙煎プロファイルは豆香洞(とうかどう)コーヒーのオーナー焙煎士である後藤直紀氏が作成。プロの技を組み合わせることで、今までの家庭用焙煎機では実現し得なかった香りと味を生み出す。
生豆は1年間12回の定期頒布による契約コースを設け、毎月5000円の「生豆パック:3種セット」と同3800円の「生豆パック:2種セット」を用意。メキシコ、タンザニア、エチオピアなどの生豆をラインアップし、3カ月ごとに「香り」「味わい」「マッチング」「アレンジ」とテーマを変えて提供する。定期頒布の豆とは別に追加購入ができる定番の生豆6種類もある。生豆パック以外の豆は焙煎プロファイルがないため、焙煎することはできない。
焙煎機は、英国のベンチャー企業「IKAWA」との技術提携により、きめ細やかな温度、風量制御による最適な焙煎を実現。生豆表面の皮「チャフ」をサイクロンにより除去することで、雑味のない味に仕上がることが特徴だ。1種類の豆に対し、浅煎り、中煎り、深煎りと3つの焙煎パターンを作成し、味や香りの違いを楽しめるようにしているという。
1回の焙煎量は50g。内容によって異なるが、焙煎にかかる時間は、余熱2分、焙煎10分、冷却3分の約15分が目安になる。焙煎士である後藤氏は「家庭用の焙煎機は今までも販売されていたが、味づくりをするレベルにはなく、難しいというのが印象。しかしスマートコーヒー焙煎機を使ってみて、本格的に使えるものが出てきたと実感した」と焙煎機の仕上がりを評した。
パナソニックでは、IoTと調理家電を活用した新しい食のサービス事業に着手しており、The Roastは第1弾商品になる。豆の産地や種類、抽出にこだわるスペシャルティコーヒーが登場した「第三の波」に続く「第4の波」として、自宅焙煎を提案していく方針だ。
サービス開始は4月上旬。販売は、直販サイト「パナソニック ストア」のみで、スマートコーヒー焙煎機の税別価格は10万円。「販売価格が10万円と高く、松竹梅の松の部分からスタートすることで、市場に受け入れられるかどうかを見極めたい。そのため直販サイトのみの取り扱いとした」(岩井氏)とした。
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