賃貸大手のハウスコムがデジタル活用に舵を切った理由--AI導入の効果は - (page 3)

テクノロジとリアルを繋ぎ、新しい顧客体験を生み出す

――最後に、今後のデジタルシフトへの抱負と、人工知能への期待について聞かせてください。

安達氏:シリコンバレーでは、人間が行うようなジャッジメントをAIに任せて、しかもその精度が非常に高いという動きも見られますよね。私たちも、本来は営業担当者がするような不動産に関するアドバイスを、AIが高精度ですることでコミュニケーションを生み出す、“AIのハウジングアドバイザー”を生み出していきたいと考えています。

 AI PETはその第一歩で、将来的にはハウジングアドバイザーそのものを生み出してほしいと思います。リアルエステートテックのトップランナーとして、今後もどんどんイノベーションを起こしていきたいですね。

「リアルな不動産屋は絶対になくならない」と安達氏
「リアルな不動産屋は絶対になくならない」と安達氏

 これまで、私と田村の2人は不動産業界以外の企業と交流しようと、Googleにも、LINEにも、Facebookにも会いに行きました。そこで、さまざまな刺激を受けた一方で、「なぜ不動産業界だけ変わっていないのか。今のままで本当に大丈夫なのか」という不安や危機感を持つようになったのです。私たちは仲介専業なので、収益モデルは仲介手数料を得ることですよね。

 しかし、最近ではIT業界からCtoCのビジネスモデルがどんどん生まれていて、場合によっては私たちのような店舗型の不動産ビジネスや仲介手数料モデルは淘汰される可能性を孕んでいるわけです。不動産ビジネスを巡っても、今IT業界から無店舗型や重説のネット完結などさまざまなアイデアが生まれている。私たちもIT業界から学び、協業してこうした流れに乗らなければならないのです。

 一方で、どれだけAIが普及しても、リアルな不動産屋は絶対になくならないとも思います。形は変わるかもしれませんが、窓口は在り続ける。カスタマージャーニーが変化しても、最後には血の通った担当者がお客様をおもてなしする。そのリアルな店舗をサポートする存在として、テクノロジを活用していきたいです。特に、今の不動産ビジネスにあるような情報の非対称性は解消したい。テクノロジとリアルを繋げることで、顧客体験を豊かにしていくことが重要ではないかと思います。

 CNET Japanでは、2月21~22日にイベント「CNET Japan Live:ビジネスに必須となるA.Iの可能性」を開催します。「結び(musubi)~『感情のつながり』と『地域の豊かな情報』”リアルが主役”」(仮)と題し、ハウスコムの田村穂氏が講演を行います。

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