「Pepperが何台も導入されている介護ホーム」──静岡県静岡市にある「まごころタウン静岡」では、AIの代名詞となりつつある感情認識パーソナルロボット「Pepper」にMicrosoft Cognitive Servicesを連携して実現した実証実験が行われている。
2014年に登場し、2015年6月に一般向け発売され、家庭から店頭まで普及し続けるPepper。店頭で目にする機会が多いが、最近は介護施設などヘルスケア領域でも導入が進んでいる。
今回、その実例として訪れた「まごころタウン静岡」は、社会福祉法人まごころが運営する2015年5月にオープンした比較的新しい施設だ。「eかいごナビ」の運営など、介護総合支援事業を行うインフィックのグループであり、約100人が生活する特別養護老人ホームを中心に、ショートステイや、併設する「まごころタウンでい草薙」でのデイサービス、居宅介護支援などを行う。
IT環境の構築は同じくグループ会社のインフィック・コミュニケーションズ(以下、インフィック)が実施した。そのため、タブレットの導入によるペーパーレス化やセンサーによる居室の環境管理を行うなど、設立当初からIoTを積極的に導入。その一環としてPepperなどロボットの導入も行われている。エントランスでも、早速1人目のPepperから出迎えてくれた。
さらに奥に進み、デイサービスが実施されている広いラウンジに2人目のPepperがいる。こちらのPepperが今回の主役だ。
もともとPepperはさまざまなロボアプリを導入することで利用する環境に応じたカスタマイズが行えるが、まごころタウンのPepperにはイサナドットネットが開発したアプリが導入されている。システムにはクラウドサービスのMicrosoft Azureが使われ、「Microsoft Cognitive Services」の「Face API」で顔認識を、「LUIS」で自然言語解析を行う。
このアプリで、Pepperは利用者を顔認識して「会話」するほか、連携する機器で行った脈拍や血圧データを、Wi-Fi経由でインターネット回線を通してMicrosoft Azureに送信。一方、IoTに関してはユニアデックスが担当し、館内や居室に設置した「IoTマルチセンサー」の計測した気温などの環境データをIoTゲートウェイを通して3G回線でMicrosoft Azureに送信する。
これら2つのサービスを合わせてリポート表示することで、測定データ全体を可視化するという仕組みだ。
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