何かの答えをすぐに知りたいとき、人はGoogleで検索しようと思いつく。プリンスの3枚目のアルバムのタイトルは? エンパイアステートビルの高さは? サンフランシスコからニューオーリンズまでは飛行機で何時間?
そうした無限とも思える知識のおかげで、Googleは地球上で最も強力な企業の1つになった。そして今、この創業18年になるインターネットの巨人は、検索市場での腕前を、これまでほとんど踏み込んでこなかった領域での新たなミッションでも発揮したいと考えている。ガジェットを作り、それを人々に買わせたいのだ。
(ところで、最初に並べた質問の答えは、「ダーティ・マインド」、1454フィート:約443メートル、直行便で4時間より少し長い、だ。もちろん、すべてGoogleで検索した)
Googleは、そうした知性を一連の新しいガジェットに組み込んだ。フラッグシップスマートフォン「Pixel」、スマートスピーカー「Google Home」、スマートWi-Fiルータ「Google WiFi」、ストリーミングデバイス「Chromecast」の新モデル、そして、仮想現実(VR)ヘッドセット「Daydream View」だ。Googleはこのラインアップを10月に発表し、ここ数週間中に次々と発売した。ルータは今週から出荷が始まった。
だが、スマートフォンもルータも、Netflixのコンテンツをストリーミングするためのデバイスでさえ、市場には既に出回っている。スマートスピーカーに至っては、アレック・ボールドウィン主演のスーパーボウルCMも記憶に新しい、音声アシスタント「Alexa」搭載の「Amazon Echo」が人気だ。
従って、Googleにとっての2017年の大きな試練は、他のスマートデバイスよりもスマートだと人々を説得して同社のガジェットを買わせることになるだろう。よりスマートだという根拠は、同社が約20年間にわたって世界について、そして、ユーザー個人についてのデータを収集してきたことだ。つまり、ユーザーの数年分のレシピ検索からそのユーザーの好きな食べ物を知っており、Googleマップへの入力から、ユーザーのお気に入りの通勤ルートを把握しているのだ。
だが、それで十分だろうか?
Googleにこの件について問い合わせたが、返答は得られなかった。
Googleは、検索エンジンと、モバイルOSのAndroidで知られる象徴的なブランドだ。Androidは、世界のスマートフォンの10台中9台に搭載されている。だが、例えばルータや日常生活を便利にする新しいハードウェアの購入を検討する際、Googleブランドは最優力候補にはならないだろう。
同社はこの状況を変える必要がある。Googleは成長を目指しており、それを実現する唯一の方法は、ユーザーが検索やGoogleマップなどの同社のサービスに費やす時間をさらに長くすることだ。そして、GoogleはAppleの戦略を拝借し、ユーザーを引きつけておく最善の方法を見つけた。すべてのソフトウェアとサービスを人工知能(AI)がサポートする世界に投入するのだ。その世界では、ワンタッチで、あるいは簡単な音声コマンドで、AIがユーザーの質問に答え、暖房を付け、お気に入りの音楽を再生し、照明を消す。
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