Microsoftとビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同創設者であるBill Gates氏は、子どものときに両親の「ワールドブック百科事典」セットをアルファベット順に読み進めたことが幸せな思い出だという(後にMicrosoftは1993年から2009年にかけてデジタル百科事典の「Encarta(エンカルタ)」を販売する)。
紙の百科事典は存在感が薄れてきているが、Gates氏は米国時間12月5日に公開した「GatesNotes」へのブログ投稿で、紙の書籍にまだ見切りを付けていないことを示した。
「新しいテーマについて学ぶ方法の中で、私が好きなのは読書だ。子どもの頃からずっと平均1週間に約1冊のペースで本を読んでいる。スケジュールが多忙を極めているときでも、読書のための時間を多くとるようにしている」(Gates氏)
同氏はブログ投稿とそこに掲載した動画の中で、2016年に読んだ書籍のうちお気に入りの5冊を挙げ、その内容を簡潔に説明した。そのうち4冊の詳細なレビューへのリンクも張られている。
故David Foster Wallace氏のテニスに関するエッセイが5本収録された「String Theory」がGates氏のリストに名を連ねた。同氏が何年もの間、Foster Wallace氏の著作を読むのを避けていたにもかかわらずだ。Gates氏はMicrosoft時代にテニスをプレーするのをやめたが、今では再び「情熱を持ってテニスに取り組んでいる」という。「テニスをしない人、いやテニスを見ない人も、この本を気に入るだろう」(Gates氏)
テニスからテニスシューズへ。Gates氏は、自身と同じく実業界の巨人であるNikeの創業者Phil Knight氏の回顧録「Shoe Dog」もお気に入りに挙げた。Gates氏は両氏がそれぞれの企業を築き上げた方法に類似点と相違点の両方を見いだしており、次のように述べている。「この本を読んで最も共感したのは、Knight氏がNikeを立ち上げるために集めた従業員たちが異色のメンバーだったことだ。Knight氏と同様、われわれも(Microsoftで)変わったスキルセットを持つ人々をそろえた。問題解決能力を有し、会社を成功に導くという共通の情熱を持つ人々だった」
Gates氏のリストから「最も恐ろしいテーマ」の書籍を選ぶとしたら、Siddhartha Mukherjee氏の「The Gene」だろう。これはゲノム科学の過去、現在、未来に関する書籍だ。Gates氏は、ピューリッツァー賞を受賞したMukherjee氏と語る動画を共有しており、この書籍はタイトルの印象ほど難解ではないと主張している。「優秀なサイエンスライターの例に漏れず、(Mukherjee氏も)独創的な比喩によって難解な概念を説明している。Mukherjee氏は見事なストーリーテラーでもあり、その才能を使って、自身の家族の精神病歴を物語に織り込んでいる。私はその点に大きな感銘を受けた」(Gates氏)
政治色が強かった2016年、Gates氏はArchie Brown氏の「The Myth of the Strong Leader」を選出した。この本では歴史的な事例研究の成果を提示して、大胆で力強いと認識されている指導者は他者と協力し交渉する指導者ほど成功していないと論じている。ご想像のとおり、大統領に当てはまる点もいくつかある。「今日の有権者の多くは、米国の大統領が政治や経済のシステムの改革にめったに着手しないことに落胆しているようだ。もしあなたもその1人なら、Brown氏の分析では、最後に変革を成し遂げた米国指導者はエイブラハム・リンカーンであることをよく考えてほしい」。Gates氏はこのように書いている。
最後に、Gates氏は選外佳作として、Gretchen Bakke氏の「The Grid: The Fraying Wires Between Americans and Our Energy Future」を挙げた。「これは老朽化する配電網を取り上げた書籍で、私のお気に入りのジャンルの1つである『ありきたりに見えて実は面白いことを、題材にした書籍』に分類される」(Gates氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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