知っておきたい重要な点は、令状を発行するには、新たな「ダブルロック」として大臣と司法委員個人の両方からの承認を得なければならないということである。また、調査権限を持ち、監視活動を監督する新しい委員も設けられる。
それでも反対派が懸念しているのは、安全策を全く講じずに監視を強化するという英国の姿勢に、他の諸国も追随することだ。あるいは、安全策を講じたうえで乱用することも考えられる。
Open Rights GroupのKillock氏は「人権が十分に確立していない独裁国家も含めて、他の諸国がこの法律を盾に、自国の強制的な監視権を正当化する可能性がある」と述べている。
この法は、DRIPAの失効に合わせて、2017年に施行される。
Snooper's Charterは、法廷で異議を申し立てられる可能性があり、欧州連合司法裁判所で審議されることになるかもしれない(もちろん、英国が欧州連合の加盟国である間の話だ)。
同法案の廃止を求めるネット署名では、10万以上の署名が集まっているため、英国議会は法案の討議を検討しなければならない。議会は討議の要請を無視することもできるが、そうなれば法案に対する国民の信頼は失墜するとKillock氏は言う。「討議になれば、下院議員が法廷でのさまざまな訴訟の意味を考える機会にもなるし、それが、同法の改正につながる可能性が高くなる」(Killock氏)
それまでの間は、この法案の影響を受けるあらゆる人にとって、インターネット上での活動を見直す好機なのかもしれない。プライバシーを懸念しているのであれば、VPN利用の契約を考えることになるかもしれない。あるいは、余計な関心を引かないように、じっと動かずにいるという手もある。
しかし、肝心なのは、政府がユーザーを疑うに十分な理由がある場合、ユーザーがVPNを使っていようがいまいが、令状を請求して、さらに強制的な監視を実行する可能性があるという点だ。隠し事など何もないと思っていても、調査権限法はいまや、否応なく、誰かがどこかで監視しているかもしれないことを思い出させるものとなってしまった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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