今回は、先ごろ株式公開の申請手続をしたと報じられたSnap(旧Snapchat)に注目したい。「Facebookがいま最も警戒しているライバルとはどんな相手か?」あるいは「メッセージサービスを手がけるソーシャルメディアがハードウェアを投入するとはどういうことか」といった関心から読んでもらえるとうれしい。
最近では「Miranda Kerr(人気ファッションモデル)のフィアンセ」として知られているらしいEvan Spiegelがスタンフォード大在学中の2012年に創業したSnap。当初は「なんだかわけのわからないもの」、つまりユーザー間でやりとりされた画像や動画が後に残らないアプリが「中高校生の間で大人気」といった感じで同社のサービス「Snapchat」を紹介していた記事が多かったと思う。またスマートフォンの存在を前提とした新手のサービスが次々と出てきていた時期だったせいか、こういう不思議なものが「どこまでいけることやら」といった懐疑的な見方をしたものもあったと記憶している。
そんなSnapが約4年という短期間に少なくとも米国では一般社会に定着したようで、2016年初めには新しいもの好きのホワイトハウス(Obama政権)も同サービスにアカウントを設けていた。この時のホワイトハウスのプレスリリースには、Snapchatについて「デイリーユーザー数が1億人超」「13〜34歳のスマホユーザーの6割以上が利用」といった説明がある。
また、今回のIPO申請を伝えたReutersの記事にもこれとほぼ同じ数字(ただし年齢層は13〜24歳とさらに若い)が記されている。米国では2015年に「ミレニアル世代(18-34歳)が7540万人となり、ベビーブーム世代(51-69歳)の7490万人を初めて上回った」というレポートが4月にPew Researchから発表されていた。いずれにしても、若い世代にどうリーチするかで苦心する各社にとってSnapchatがすでに重要なパイプ(媒介役)のひとつとなっていることが、こうした数字などからも感じ取れる。
Snapは2015年初めから(狭義の)メディア企業との提携を積極的に進めてきている。「Discover」というセクションを通じてVICE、BuzzFeed、CNN、DailyMail、People、National Geographic等々といった媒体のコンテンツを配信し、各媒体と広告収入をシェアしている。同時にスポンサ-ドレンズ(sponsored lenses)やジオフィルター(geofilters)といった広告商品も提供しており、直近ではFoursquareと提携して精度の高いターゲティング広告を配信するとの発表もあった。
Snapの現在の主たる収入源はこの広告売上で、この金額が「2017年には10億ドルに達する」との予測が米調査会社のeMarketから9月初めに出されていた。また来春に予定するIPOでは推定250億〜300億ドル程度の評価額で株式を公開する見通しだという。
さらに、Snapは9月下旬に「Spectacles」というカメラ付きサングラスを発表。今週初めにはこの製品がいよいよ発売となり、その奇抜な販売方法(移動式の自動販売機を利用し、場所を予告せずに販売するというゲリラ的手法)も手伝って、比較的大きな注目を集めていた(130ドルのこの製品がEBayで売りに出され、1000ドルを超える値段をつけていたなど)。
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