なお同社はSpectaclesの発表時に組織を見直し、「カメラ会社」という新たな自己定義を打ち出していた。Snapchatのようなウェブサービスまで含めた新種のカメラ会社ということだろうが、Spiegelが将来に向けてどんなビジョンを思い描いているか、あるいはSpectaclesに続く端末の開発を念頭に置いているかといったことは現時点ではよくわからない。
できるだけたくさんのユーザーを集めて、集まったユーザーにできるだけ多くの時間を使わせる、というのがSpiegelらの狙いであることは比較的簡単に想像がつく。それに比べると、メッセージアプリの開発元であり、メディア企業であり、同時にカメラ会社でもあるというSnapを「何の会社」とラベル付けするのがいいかというのは些か難しいが、もちろんこうしたものを所与のものとして受け止める世代(ユーザー)にはそうしたラベル付けなどどうでもいいことかもしれない。
なお、SnapchatとFacebookとの競合ぶりについては詳しいことは割愛するが、たとえば最近でもFacebookがSnapchatの機能をほぼそのままパクったようなものをInstagramに実装したことが何度か話題になっていた。そうしたことからも同社がSnapchatのことを相当意識していることがうかがえる。
ところで、Spectaclesの発売開始直後に、Appleに関する些か不可解なニュースがBloombergで報じられていた。「同社がメガネ型AR端末の開発を検討しているらしい」という話だが、内容自体にはとくに不思議なところはない。Appleに関して「Google Glass」が引き合いに出されるような製品の話が報じられたのはおそらく今回が初めて(関連しそうな特許取得の話は除いて)と思うが、例によって「いずれ出るかもしれないし、出ないかもしれない」といった話でもあるため、これ自体にはとくに言及すべきことも思いつかない。
ただ、ひとつひっかかったのは「投入時期は早くて2018年」というこの端末の話が、どうしてこのタイミングで報じられたのかという点で、その答えを探る具体的なヒントなどはまだ見つかっていないが、この時点での情報リークが単なる偶然の一致とも思えない。
Appleが過去に、競合他社の動きから一般の注意をそらすことにかけてはどこにも負けない名人ぶりを発揮していたことは周知の通り。たとえば毎年3月に「iPad」の新機種が投入されていた数年前までは、2月下旬にMobile World Congressで発表されたAndroid端末の話題が、新型iPadのうわさでよくかき消されていたことなどが思い出される。また、ポスト・スマホ時代を見据えた「陣取り合戦」で、手首(スマートウォッチ)に続いて顔(メガネ)が戦場になるというのも比較的わかりやすい話だろう。
Spiegelはいまのところ、Spectaclesをあくまで「おもちゃ(toy)」と言い張っているらしい。またそのカラフルなデザインや奇抜な販売方法からも、そうした受け止め方をしてほしいと意識的にアピールしている感じがする。だが、そうしたアピールをすればするほど、真意を隠したがっているのではという気がして仕方がない。
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