パナソニックは6月24日、10時から、大阪市中央区の大阪城ホールで、第109回定時株主総会を開催した。会場には5431人と2015年と同数の株主が出席。株主総会の様子が中継された東京では607人(前年実績は586人)、名古屋では485人(同492人)の株主がそれぞれ出席した。
議長を務めたパナソニック代表取締役社長の津賀一宏氏による開会宣言後、ビデオを通じて、2015年度の業績を説明した。
2015年度は、中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(CV2015)」の目標を1年前倒しで達成したことから、「売上成長による利益創出」へと舵を切り、持続的な成長に移行する年と位置づけ、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、インフォテイメント、二次電池、パナホームの大規模6事業部を中心に、売上高、営業利益の改善と戦略投資の仕組みと実行に取り組んできた。だが、中国市況の減速など、事業環境の変化と、その対応への遅れなども影響。大規模6事業部は増収の牽引役とはなれず、当初もくろんだ増収による増益の構図は作れなかったと総括した。
対処すべき課題と今後の取り組みについては、津賀社長が説明した。「2015年度は既存事業が縮小し、減収となったことで、2018年度の売上高10兆円の計画は見直すが、積極的な成長戦略は引き続き推進する。我々が目指す姿は、お役立ちを創出し続けることであり、お役立ちを推し量る指標は利益になる。利益を伴った成長と、継続的な利益創出に取り組む」との基本姿勢を示しながら、2018年度に、営業利益5000億円、当期純利益で2500億円以上を目指すことを強調した。
津賀社長は、「減収だが増益という結果ではなく、増収による増益を目指す。収益改善事業、安定成長事業、高成長事業に分けて、メリハリのある事業を運営していく。高成長事業は、先行投資や1兆円の戦略投資を行い、増収増益の牽引役となることを目指す」と述べた。
白物家電では、国内において過去30年間で最高の市場占有率を獲得したこと、アジアではジャパンプレミアムの訴求、中国では健康、余裕、品にスマートを掛け合わせるなど、地域特性にあわせた「憧れの暮らし」を提案することに取り組むほか、リフォーム事業を「Panasonicリフォーム」にブランドを統一。介護関連事業においても関連会社を統合して、事業拡大を加速する考えを示した。「これらの事業では、規模を追うだけでなく、質を伴ったものでなくてはならない」とも語った。
また、インフォテインメント事業の強化、車載電池の生産体制の強化も重点事項の1つとして、とくに車載電池では、テスラモーターズと共同で進めている米ネバダ州の生産拠点を2016年に稼働することに言及。「フル稼働時には、2015年に使用された全世界の車載用電池の1.6倍を生産できる巨大な拠点になる」とした。
さらに、2016年度の売上高が前年比1%減の7兆5000億円、営業利益が407億円減の3750億円、当期純利益が583億円減の1350億円の減収減益計画であることについては、「単年度の業績よりも、中長期的な業績を重視。車載電池やフリォームなどへの積極的な投資を優先。意思を込めた減益になる。2018年度は増収増益の定着を目指す」と語った。
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