それほど大きなコストをかけて維持している自動車の台数は米国全体で約2億5000万台、なのに稼働率はわずか4%にすぎない、というのが後者の根拠で、「遊んでいる自動車を停めておくスペースが米国全体では7億5000万台分もある」「この駐車スペースを全部合わせると、コネチカット州よりも広い面積になる」などと、自動車優先社会の無駄がいかに大きいかを強調している。
自動運転車+ライドシェアが実現・普及すれば、道路や駐車スペースに対する需要が減り、空いた空間を他の目的に使えるようになる。その一部を住居(集合住宅新設)にまわして都市人口増加という課題への対応に役立てられる可能性もあれば、空いた土地に人の集まる公共スペースを新たに作ってコミュニティーを活性化させるといった手も考えられる。
そんな取り組みが実は世界中で始まっていると書いたZimmer氏は、代表例としてサンフランシスコにあるFerry Building一帯(ベイブリッジの近く、中心部からもわりとすぐの場所)の様子を写真付きで紹介している。
サンフランシスコの市当局は、1989年の大地震で痛んだハイウェイを修復する代わりに、それを取り壊して広場を設けた。今では、この広場で週末ごとに開かれるファーマーズマーケットに2万5000人もの人が集まるようになっている(この”farmers market”については「地元のベンダーが出店」とあり、おそらく「地産地消」の流れに属する試みと思われる)。また広場周辺に新しい商店やレストランなどもでき、住宅の数も増えたおかげで、新しいコミュニティー(”neighborhoods”)が生まれている。
そう記したZimmer氏は、同様の取り組みがニューヨーク、ワシントンDC、フェニックス(アリゾナ州)、ポートランド(オレゴン州)といった各都市、さらにバルセロナ(スペイン)、ソウル(韓国)などでもいろんな形で進められている、とも記している。Zimmer氏には「第3の革命」の先にある将来の姿がある程度まで見えているのかもしれない。
人口減少が社会の基底にある日本、「限界集落」や(都内での)「空き家増加」などの問題が顕在化している日本の場合は、解決すべき具体的な問題も自ずと異なってくるだろう。ただし、交通・輸送手段の変化が都市のあり方に大きな影響を及ぼす、あるいはこの新たな手段をテコにして社会をより良い方向に大きく変えられる可能性があるといった点は変わらないと思う。
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