「第3の輸送革命」--Lyft創業者の真の狙いは都市と社会の再構築 - (page 2)

 その一方で、人口増加が続く地域(主に南部、南西部など)では、郊外の範囲が外へ、外へと拡がっていき、通勤用のマイカーの数も増え続けて、道路の渋滞が悪化。そして、渋滞を緩和しようとすると、自ずと道路を拡張・新設ということになって、都市はさらに自動車優先につくりかえられていく。そんな悪循環が続いているらしい。

 この遠距離通勤の問題について、一つ思い出したことがある。「シリコンバレーの地価・家賃高騰」に関連する話題で「メンローパークの消防局が、消防士により近いところに住んでもらおうと、最大で月2000ドルの住宅補助費を支給することにした」というWSJのニュース記事だが、この中には「100マイル(160km)以上離れたところにある自宅から通勤してくる隊員が15人もいる」といった一節がある(東京に置き換えていうと、静岡あるいは湯沢あたりから「高速を使って通勤」といった感じか)。

「自動車中心社会」の「無駄」の大きさ

 自動運転車とライドシェアリングの実現・普及で、そんな悪循環を断ち切るチャンス、交通分野だけでなくさらに大きな社会的課題に取り組めるチャンスがやってこようとしている。この機会を逃してはならない。手入れの行き届いていない米国の交通インフラの現状も考えると、このチャンスを見逃す手はない――。Zimmer氏の現状認識を要約すると、そういった感じになると思う。

 なお米国の道路インフラの現状については、「米国土木学会(American Society of Civil Engineers)がDランクの評価をつけた」という説明がある。またこの交通インフラの維持・整備に関する問題が、現在進行中の大統領選挙で大きな争点の一つになっている、という話も見かけた(NYTの記事など)

 Zimmer氏が変革を起こせそうだと考える根拠は主に次の2つ。

 1つはマイカーの購入・維持にかかるコストの無駄、そしてもう1つは駐車スペースの無駄で、この2つを大幅に減らすことで、都市のあり方も変われば、人の暮らし方も変わるとZimmer氏はそう考えている。

 Zimmer氏は、前者の点について「米国全体で年間2兆ドルくらいの金額が自動車の購入と維持に使われている」「これは一台あたり年間9000ドル程度になる計算」などと指摘。また、負担の増大に触れて「かつては個人に移動の自由をもたらしていた自動車が、今では「所有者の足に鎖でつながれた鉄球」になっている」と記している。

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