Appleが9月7日(米国時間)に発表した「iPhone 7/7 Plus」。耐水・防塵対応やFeliCaの採用などもあって日本での期待度は高く、日本での販売、特に大手キャリアの販売施策に注目が集まるところだ。発表会が実施された米国・サンフランシスコにて、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏に、auのiPhone 7/7 Plusの販売に向けた取り組みについて話を聞いた。
auは2015年4月より、「お客さま体験価値向上プロジェクト」を立ち上げ、顧客体験を重視した取り組みを実施してきた。長期利用者向けの優待サービス「au STAR」を立ち上げるなど、大幅な戦略転換を行っている。それゆえ、iPhoneの販売に関しても「顧客の体験価値を重視した取り組みを進めていく」と、田中氏は話す。
特に2016年は、総務省が「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(PDF)」を打ち出し、実質0円販売が事実上できなくなったほか、8月には公正取引委員会が「携帯電話市場における競争政策上の課題について(PDF)」という報告書を出すなど、行政側がスマートフォン販売の見直しを大手キャリアに要求。従来のようにiPhoneを安価に販売して集客することは、難しくなってきている。
しかもiPhone 7/7 Plus自体は内容が同じであるため、キャリアによって差をつけることが難しい商材でもある。それだけに田中氏は、顧客体験価値を向上させることが、新しいiPhoneの販売においても大きな意味があると見ているようだ。
iPhoneユーザーの顧客体験価値を高める、auの取り組みの1つとなるのが、携帯電話料金と一緒に料金が請求される、いわゆるキャリア課金サービス「auかんたん決済」を、App StoreやiTunesの決済に対応させたことである。キャリア課金は若い世代やクレジットカードを持ちたくない人達に人気の決済手段だが、Appleは長い間キャリア課金の導入をしてこなかった。現時点でも国内で、App Storeなどでキャリア課金が利用できるのはauだけであり、この対応はとても高い好評を得ているとのことだ。
そしてauでは、iPhone 7/7 PlusでFeliCaが導入されたことを受け、さらにモバイルペイメントに対する取組を拡大するとのこと。早速、auのクレジットカードサービス「au WALLETクレジットカード」を、JCBなどが開発した非接触電子マネー基盤「QuicPay」を用いてApple Payに対応させることを発表している。iPhone 7/7 PlusはSuicaにも対応していることから、まずはSuicaによる交通系電子マネーと、クレジットカードの対応によって利用拡大を進めていく考えのようだ。
FeliCa搭載が大いに盛り上がったiPhone 7/7 Plusだが、実際のユーザーに響くのは「1に耐水、2にカメラ」と田中氏は見ているようだ。特にカメラに関しては、iPhone 7 Plusのデュアルカメラに注目。耐水、FeliCaなどと共に「Androidに対してキャッチアップできたことは、ユーザーにとっても嬉しいことなのではないか」と、田中氏は話している。
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