スマートドライブは9月1日、従業員が運転する車両の一元管理や安全運転を支援する法人向けのクラウドサービス「DriveOps」を正式に公開した。また、従来のOBDデバイスに加えて、シガーソケット版デバイスをラインアップに追加した。アマゾンでの販売価格は5000円。2016年内に3G通信が可能なモデルも販売する予定だという。
同社は、低価格な車両診断デバイス(OBD2)をクルマにつけるだけで、スマートフォンから簡単に、自身の運転スピードや燃費などの運転特性を“診断”してもらえるサービス「DriveOn」を提供している。
産業革新機構から出資を受けており、アクサ損害保険とは、ドライバーの運転特性に応じて保険料が割引されるテレマティクス保険を開発している。現在は、リアルタイムに数千台後半のデータを解析しているという。
新たに提供する法人向けのDriveOpsでは、GPSによって従業員の運転するすべてのクルマの走行経路が地図上に記録され、リアルタイムに位置を確認できる。そのため、たとえば営業車が“サボっていないか”もすぐに把握できてしまう。また、各ドライバーの急加速や急減速、アイドリングなどを自動診断し、点数評価する「安全運転診断スコアリング」を受けられる。
さらに、すべてのクルマの車検やエンジンオイル交換などの予定が自動で管理され、必要なタイミングでアラートされるほか、スマートフォンでレシートを撮影してアップロードするだけで、日々の駐車場代やガソリン代を管理できるため、経費精算や日報などの効率化にもつなげられるとしている。
同社によれば、DriveOpsの初期費用は一般的なデジタコ(デジタルタコメーター)と比べて約20分の1。また、月額費用も1台あたり1480円からと低価格で利用できるそうだ。クラウドサービスのため、デジタコやドラレコ(ドライブレコーダー)のように事前の工事が不要。また、すべてのデータが自動でリアルタイムにクルマから送られ一元管理できるため、クルマからメモリーカードを回収するといった手間もかからない。
スマートドライブ代表取締役 CEOの北川烈氏によれば、一部のパートナー企業に先行してDriveOpsを提供したところ、従業員の意識が変わり、平均して事故件数が2割減るなど、安全運転を促進できているという。また、大手コンビニチェーンでは弁当の配送管理などに活用しているそうだ。今後はすべての企業に同様のサービスを提供していく。
同社では、クルマの走行データを収集して活用したい企業向けのプラットフォーム「SmartDrive Data Platform」への参加企業の募集も開始した。各種車載デバイスを通して収集して解析されたビッグデータを、さまざまな自社サービスに活用できるプラットフォームだという。
このプラットフォームを活用することで、たとえばクルマのリース会社が自社の名前で車両管理ツールを提供したり、コンサルティング会社が数千台のクルマの走行データを収集して業務改善に生かすといったことが可能になる。また、東京都を走っているクルマのリアルタイムデータを使って「東京都走行マップ」のようなものも作れるようになるという。
「自動車保険であれば、『ドライバーの安全度合い』は知りたいけれど、『車両の故障』はいらないなど、好きな部分だけ従量課金で使ってもらえるようなプラットフォームを目指している。IoT時代のクルマ領域におけるAWS(Amazon Web Services)になりたい」(北川氏)。
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