カーシェアリングやライドシェア、「Uber」や「Grab Taxi」といった配車アプリなどが浸透し、クルマは所有するのではなく、「シェア」する感覚が広く普及しつつある。それに伴って、今後は「駐車場」のシェアも増えていきそうだ。
その流れを牽引しようとするサービスが、この夏にオランダの首都アムステルダムでサービス開始予定の「BeepBeep」だ。
2015年創業のBeepBeepは、一言で表すとバレーパーキング版Uber。バレーパーキングとは、自分の代わりとなる誰かに駐車をまかせることで、ホテルのロータリーなどで見かけたことがあるだろう。
目的地に着いたら、BeepBeepのアプリを起動してクルマを駐車場に停めてくれるBeepBeep公認の代行ドライバーを探す。承認されると、その人が自転車で指定した場所に来てくれ、キーを渡せば自分の代わりに停めてくれる。駐車料金は1時間5ユーロ。最長1日で35ユーロと、普段駐車場に停める時とあまり変わらない金額に設定される予定だ。
代行ドライバーが運転する際、クルマの居場所はアプリを使ってリアルタイムに追跡できるほか、基本的にはフルカバーの保険がかけられる。各駐車場とも提携し、セキュリティに万全を期すための方策が取られるようだ。
利用者は用事を済ませて代行ドライバーに連絡をすると、依頼した場所に15分後にクルマを届けてくれる。今後は、駐車中のクルマの洗車やガソリンの補給といったオプションサービスも提供する予定だという。
現在はサービスの提供開始に向けて最終調整中。4月にオランダ南部の北海に面したビーチリゾート地 Scheveningenで実施された実証実験で集められた利用者の声を踏まえ、改善を続けている。
もともとは高速鉄道のデザイナーだった創業者 兼 CEOのScott Moran氏には、世界中の都市をスマートシティにしたいという思いがある。「大気汚染の30%が、駐車場を探しているクルマの排気ガスによって引き起こされている。ドライバーの誰もが15分以内にバレーパーキングをできるようにしたい」(同氏)。
Moran氏はその最初の場所として、欧州の中でも環境に配慮する意識が高く、2025年までに電気自動車以外の販売が禁止される見込みのオランダを選んだ。BeepBeepのようなサービスが浸透すれば、大気汚染の抑制がさらに進むかもしれない。今後はクルマ自体にBeepBeepのようなアプリをプリインストールするアイデアも考えられるだろう。まずは、この夏のサービスローンチが楽しみだ。
(編集協力:岡徳之)
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