個人的な話だが、筆者のiMacのデスクトップには次から次へとがらくたが溜まっていくようなので、それがノートブックにコピーされたら厄介だ。しかし、デスクトップを作業中のファイル用の未処理トレーのようなものとして使っている人は、この機能を重宝するかもしれない。
Sierraには、新しい形の「ストレージ最適化」も追加されている。古いファイルをiCloudにアップロードすることで、Macの内蔵ハードドライブの容量を解放するという機能だ。ゴミ箱の中身や古いウェブキャッシュなどの不要なファイルを削除することもできる。ただし、このストレージ最適化機能にはシンプルなオン/オフスイッチがあるだけで、Macに保存したファイルがiCloudにアップロードされるまでの期間など、追加の設定がほとんどできないようだ。こうしたシンプルさは個人ユーザーにとっては魅力かもしれないが、企業のITマネージャーは、ストレージ最適化の正確な仕組みがもっと明らかになるまで、このオプションを無効にしておきたいと考えるのではないだろうか。
さらに便利なのは、アプリ内のタブを使って複数の書類やウィンドウをグループ化する機能かもしれない。予想どおり、この機能は「Pages」や「Numbers」スプレッドシートなど、Apple固有のアプリでは快適に動作した。
Appleはこれらのタブについて、既存のサードパーティーアプリでもアップデートなしで動作すると述べているが、米ZDNetのテストでは必ずしもそうならなかった。確かに一部のアプリでは、開かれたウィンドウを1列のタブに結合する新しいメニューコマンド「Merge All Windows」(すべてのウィンドウを統合)が表示された。しかし、複数の重要なアプリ(お察しのとおり「Microsoft Office」もその1つ)で、この新しいコマンドが表示されず、それらのアプリはアップデートが必要なのではないか、という疑問が浮かんだ。
他にも細かな機能がいくつもある。「Apple Watch」はまだ驚異的な成功を収めるには至っておらず、Apple Watchを装着するだけでMacのロックを解除できる機能によって、その状況が変わることはないだろう。しかし、MacのSafariが「Apple Pay」に対応することで、同決済システムは競合の非接触型決済サービスより優位に立てる可能性がある。動画再生用のピクチャ・イン・ピクチャ機能も便利だが、現状では右ダブルクリックで起動しなければならないため、もっと簡単に利用できるようにする必要があるだろう。
ベータ版ソフトウェアに数多くのバグや不具合が含まれるのは避けられないが、macOS Sierraの主要機能は十分に魅力的であり、2016年中の完成版リリースを非常に楽しみな気持ちにさせてくれる。サードパーティーアプリのタブやユニバーサルクリップボードなどの小さな機能でさえ、われわれの日常業務に役立つものになるだろう。さらに、もしAppleがSiriをデスクトップで活用できるようにする取り組みをやり通せば、「スター・トレック」のような未来に近づくことになるかもしれない。つまり、誰もがコンピュータに話しかけるようになり、そのことを馬鹿げていると思うこともないということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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