Siriの音声認識の精度は良好だが、(少なくともこのベータ版では)まだ荒削りな点もある。実際に、この「beta」(ベータ)という言葉をいつも聞き取れず、電子メールに何度も「Peter」(ピーター)や「beater」(ビーター)と入力した。米ZDNetのテストでは他にも重大な聞き取りミスがいくつかあったが、正式版リリースまでの数カ月間で修正可能な類の問題だろう。
ファイル検索機能はやや限定的である。Siriは、「この1週間に作成されたファイル」や「Peterからの電子メール」など、ファイルのグループを見つけるのは得意だが、名前で個々のファイルやフォルダを開くことはできないようだ。
Siriが情報を提示する方法にも、いくつか矛盾点がある。個々のウェブページ(「ZDNet.com」など)を「Safari」ブラウザで開く分には、何の問題もない。だが、「Search for Apple news」(Apple関連のニュースを検索して)と頼むと、Safariではなく、デスクトップ上のSiriパネルにウェブ検索結果が表示されるため、検索結果を素早く閲覧していくのが難しい。
また、Siriは今のところマウスかキーボードを使って有効にする必要がある。iPhoneでは常時オンの「Hey Siri」オプションを利用できるが、Macにはそれに相当する機能がないようだ。もちろん、これらの問題のいくつかは正式版リリースまでに修正される可能性が十分にあるし、現在のベータ段階でも、筆者は「Windows 10」の「Cortana」よりも、MacのSiriに話しかけたい気持ちの方が強い。
WWDCでのSierraのプレゼンテーション中に大喝采を浴びた機能がもう1つある。新しい「ユニバーサルクリップボード」だ。その名が示すように、Sierraを搭載するMacと、「iOS 10」(同じくパブリックベータ版が公開中)を搭載する「iOS」端末の間で、テキストやグラフィックスをコピー&ペーストすることができる。
筆者は長年にわたり、この機能の実現を目指していたサードパーティーアプリにかなりの金額を使ってきたので、Sierraでこの機能を試すのを心待ちにしていた。残念ながら、筆者のオフィスにある「iMac」とiOS 10搭載「iPad Pro」でテストしたところ、ユニバーサルクリップボードは全く動作しなかった。今後数カ月の間に修正されるかどうか、成り行きを見守るしかない。
これもmacOSとiOSの連携を強化する機能だ。AppleのiCloudサービスで、デスクトップと書類フォルダの中身を無料のiCloudストレージ内に保存できるようになる。Sierraを搭載する複数のMacで同じデスクトップフォルダを共有できるため、自分のすべてのMacでデスクトップが同じように表示され、iOS端末から「iCloud Drive」アプリを使ってMacのデスクトップのファイルにアクセスすることもできる。
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