「iPhone」にはカメラアプリが最初から搭載されている。だがMicrosoftは、最新の画像処理技術を駆使したスマートな機能を満載する新たなカメラアプリ「Microsoft Pix」をリリースして、iPhoneユーザーを呼びこもうとしている。
Appleの「App Store」で米国時間7月27日に公開されたPixは、人工知能(AI)、コンピュテーショナルフォトグラフィ、動画手ぶれ補正など、複数の高度な技術が組み合わされた製品だ。Pixは、ユーザーが特に作業をすることなく、写真や動画の品質を向上できるように設計されている。
Pixで写真を撮影すると、実際には0.5秒間に10枚の写真が撮影され、その中からベストと判断された写真がユーザーに提示される。撮影されたシーンに大きな変化がある場合は、2番目の選択肢が提示されたり、めったにないことだが、3番目の写真が提示されたりすることもある。
また、このアプリを活用できるのは静止画だけではない。「Android」向けアプリの「Microsoft Hyperlapse Mobile」で利用されている手法を用いて映像をスピードアップし、スムーズな早送り版の動画を作成することも可能だ。さらに、複数の画像をまとめることで、写真の一部分だけが動いて他の部分が静止している、いわゆる「シネマグラフ」を作成することもできる。
ただし、こうした精巧な機能には代償もある。すべての画像処理が実行されるまで、最大2秒の時間がかかるのだ。
Pixは、現段階では人物の撮影に特化したアプリとなっている。Pixは顔を追跡し、明るさを調節することで顔の部分の露出を適切なレベルに設定しようとする。だが、これは最初のステップにすぎない。シャッターボタンが押されると、Pixは10枚の写真を撮影し、目が閉じられている写真、顔がぶれている写真、被写体が笑っていない写真を削除すると、Microsoft Researchのコンピュテーショナルフォトグラフィグループで主席プログラムマネージャを務めるJosh Weisberg氏は説明する。
Pixは10枚の写真のうち、7枚をシャッターボタンがタップされる前に、3枚をボタンがタップされた後に撮影する。このような設定になっているのは、撮影者がしばしば決定的な瞬間を逃してしまうことが、事前のテストで判明したためだ。
撮影した写真のほとんどは消されてしまうが、Pixはまず、それらの写真を利用して画像ノイズを除去したり、光量不足や暗い条件下で撮られた写真に発生して画質を損なうノイズを除去したりする。同じシーンを撮影した複数の画像を使うことで、Pixでは本来の色に近い色を再現できるわけだ。
動いている要素と静止している要素の組み合わせを検出した場合、Pixはシネマグラフを作成する。たとえば、立っている人々の背後で川の水が流れている写真や、顔は動いていないのにまばたきをしている写真を作成できる。
MicrosoftではこのアプリのAndroid版もリリースする予定だが、具体的な日付は明らかにされていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス