ショッピング天国の香港で「買い物はECで」は普及するか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 香港といえば、何を思い浮かべるだろうか。100万ドルの夜景、世界の貿易・物流センター、国際金融都市、あるいは中国ビジネスにおけるゲートウェイなど、さまざまだと思うが、関税や消費税がなく、街全体が免税店であることは大きな特徴の1つだ。世界中から集まってきた多くのブランドを一挙に見ることができ、セール時期の割引率は高く、ファッショニスタにとっては垂涎ものの「買い物天国」である。

 英経済紙エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が2015年1月に発表したアジア女性のインターネットショッピング研究報告によると、街の実店舗より電子商取引(EC)サイトで買い物をするのが好きな香港人女性は、わずか29%にとどまることが分かった。

 この調査は、香港や中国本土のほか、日本、マカオ、台湾、インド、シンガポール、韓国の女性5500人が対象。全世界における女性の半数(49%)が、店舗よりもオンラインでショッピングをすることを好むとされるなか、効率・スピードを重視する香港人が、オンラインショッピングよりも実店舗での買い物を楽しむのには理由がある。

 香港の面積は約1104平方キロメートル(東京都の半分)、人口約750万人で、人口密度は東京都とほぼ同じだ。人口の大半が中心街のショッピングモールから30分以内の距離に居住しており、かつ狭い域内に実店舗が高度に発達しているため、ECが育ちづらいと考えられているのだ。

 確かに、香港のEC市場は日本や中国本土に比べると遅れているが、スマートフォンの使用率は約63%で、世界最高水準のモバイル普及率を誇る。街を歩けばほとんどの人がスマートフォンで会話をし、動画やゲームを楽しんでいることから、市民のインターネット使用時間の長さにビジネスチャンスを見出す企業もある。

 今回は、若者を中心に新たな買い物スタイルを提案する、ファッションショッピングアプリを紹介しよう。

セレブのコーディネートを、割安で--類似商品をサーチ・購入できるファッションアプリ「Goxip」

Goxipウェブサイト
Goxipウェブサイト

 香港発のアプリ「Goxip(ゴシップ) 」は、投資家のYC Lau(柳宇澄)氏と米系共同購入型クーポンサイト「Groupon(グルーポン)」香港の元副総裁を務めたJuliette Gimenez(詹明月)氏が、2015年に立ち上げたショッピングアプリ。iOSおよびAndroid対応アプリをリリースしており、シンガポールのハイテク企業と組んで開発された。

 セレブが着用している洋服やアクセサリーなど、“自分が欲しい衣類の写真”をアプリにアップロードすると、データバンクの中から類似した商品を探し出し、アプリ内で購入することができる仕組み。アプリを使って商品取引が成功した時に、Goxip側が手数料を徴収するビジネスモデルとなっている。


Juliette GimenezとYC Lau(ソース:Tech in Asia

 最新トレンドに敏感な人なら、セレブがレッドカーペットで着こなしていたドレスや、私服スナップに登場したアイテムを取り入れたいもの。しかし、同ブランドの商品を店舗で買おうとすると、高すぎて手が届かない。仕事や子育てに忙しく、似たような商品を店舗に探しに行く時間が取れない。もっと気軽に商品を手に入れたい―ー。そんな高感度層と小売を結びつける新たなソーシャルプラットフォームが、Goxipのオンラインショッピングなのである。

 現在、約1万5000のファッションブランドを扱い、取扱商品数は200万点を超える。500回の閲覧に1回の割合で成約しており、一般的なネット通販の1万回に1回の割合を大きく上回っている。


アプリの使用イメージ(ソース:Tech in Asia
  • このエントリーをはてなブックマークに追加