同日の記者発表会で登壇したDeNA代表取締役社長 兼 CEOの守安功氏は、「自動運転が普及すると、人の移動やモノの輸送の概念が劇的に変わる。今と比べて身近で手軽で便利になることで、いろいろな形態のサービスが生まれてくる」と説明。同社がこれまで培ってきたインターネット技術や、AIを活用することで、自動運転向けの最適なアルゴリズムなどを開発したいと話す。
DeNAでは、自動運転の領域ごとに最適なパートナーと提携して事業展開する方針をとっている。まず「公道旅客」ではZMPとともにロボットタクシーの開発を進めている。また「私道旅客」では、フランスのイージーマイルと提携し、8月から無人運転バスを使用した交通システムを、イオンモールの顧客向けに試験提供する予定だ。そして今回のロボネコヤマトは「運送」領域での取り組みとなる。
守安氏は今後、クラウドシステム(車輌、決済、車両管制)、ユーザーレイヤー(配車依頼、支払い)、オペレーターレイヤー(電話対応、予約管理、危機対応)、車両レイヤー(ルート設定、車両制御システム連携)など、自動運転に関するあらゆる分野の事業を総合的に展開する「モビリティサービスプロバイダ」として、ナンバーワンを目指したいと意気込んだ。
続いて挨拶したヤマト運輸 代表取締役社長の長尾裕氏は、2016年は宅急便が生まれて40周年を迎える節目の年になると説明。2015年度の宅急便の配達数は17.3億個におよび、40年前の170万個の約1000倍にまで増えているという。ただし、それにともない多様化するユーザーニーズにも応えていかなければいけないと話す。
そこで同社では、オープン型の宅配ロッカーや、アプリやLINEでの配送依頼、コンビニ受け取りなど、幅広い方法で荷物の受け渡しの可能性を広げてきた。その上で今回のプロジェクトでは、自動運転によってユーザーが望むときに望む場所で荷物を受け取れる“ラストワンマイルのオンデマンド化”を実現したいという。
ECサービスやフリマアプリの増加によって配達する荷物が増えている一方で、高齢化によって労働人口は減少している。物流業界では運転手が不足しているとも言われているが、長尾氏は自動運転技術が進むことで、女性や高齢者など、これまでトラックを運転することが難しかった層にも雇用の機会を提供できるのではないかと期待を寄せた。
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