東京電機大学の佐々木良一教授は、「日本のセキュリティ研究開発の移り変わり」と題し、1981年に最初のコンピュータウィルスが登場してからどのようなセキュリティの問題があり、対策が行われてきたかを解説した。
被害の歴史には2つのターニングポイントがある。2000年の科学技術庁などのホームページ改ざんがあった頃は愉快犯が多く、2010年以降は、金銭目的や主義主張など目的が多様化した。攻撃も従来は“風邪”程度だったが、今は新型インフルエンザのようになっているという。あわせて対策もワクチンプログラムから脆弱性診断、対策製品や検知システムが開発され、今やセキュリティ市場は1兆円産業へと成長している。
セキュリティ問題は、不正行為だけでなく故障や事故、ヒューマンエラーも含まれるようになった。それらに対し、佐々木氏は総合的な対策を研究する「ITリスク学」を提唱して2008年ごろから試行している。また、サイバーセキュリティやインテリジェンスなどを科目に含む新たなセキュリティ教育を2015年からスタートし、金融庁や防衛庁、警察など社会人も受講しているという。
2006年にIPAが発表した10大驚異のリストからも、セキュリティ問題は脅威の”見えない化”が加速していることがわかる。「今後は、攻撃にAIが使われることも考えられる。すでに対抗するためのAI開発も行われているが、ますます複雑化するセキュリティ問題に対抗するには、研究開発者はもっとがんばらなければならない」と語った。
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