シマンテックは10月16日、サイバー犯罪調査「2013年ノートン レポート」を発表した。調査結果を解説した同社マーケティング統括本部の本部長である岩瀬晃氏は、調査結果から判明した「被害者像」を説明。被害者になりやすいのは男性(64%、女性は58%)で18~31歳の“ミレニアム世代”(66%)であるという。国別では、ロシアが85%と最も多く、中国(77%)、南アフリカ(73%)と続いた。
スマートフォンやタブレットのユーザーは、約半数が手の届くところにこれらのデバイスを置いて就寝するほど大事にしている反面で、約半数が自分のデバイスにパスワードやセキュリティソフト、またはファイルのバックアップなどの基本的な予防対策を講じていないことが明らかになった。
ウイルス対策以外にも多くの機能を搭載する高度なモバイルセキュリティソフトを使用しているユーザーは26%にとどまり、57%はモバイル向けのセキュリティ製品の存在を知らなかった。日本だけを見ると、基本的な予防対策を講じていないユーザーは38%と全世界より少ないが、高度なモバイルセキュリティソフトを使用しているユーザーはわずか19%であった。
シチュエーション別の行動を調べた「セキュリティIQ」の結果では、「知らない人からの不審なメールは削除する」のは、PCユーザーで90%、タブレットユーザーで60%、スマートフォンユーザーでは56%となった。「少なくとも基本的なセキュリティ製品を利用している」のは順番に72%、42%、33%、「機密ファイルをオンラインに保存しない」のは、順番に78%、53%、48%となり、セキュリティの意識がPCユーザーでは高めであるのに対し、モバイルユーザーは低いという結果になった。
モバイルでのサイバー犯罪と損失については、過去12カ月以内にモバイルでサイバー犯罪の被害に遭ったユーザーは38%(日本は13%)、モバイルデバイスを紛失、あるいは盗まれた経験があるユーザーは27%(日本は3%)であった。
被害額は、全世界で約1130億ドル(約11兆2977億円、1ドル=99.98円)で、主な内訳は「詐欺」(38%)、「修理」(24%)、「盗難・紛失」(18%)となっている。日本での被害額は約10億ドルであった。
過去1年間にサイバー犯罪に巻き込まれたオンラインユーザーの数は、2012年の46%から41%に減少(日本は15%から7%に減少)しているのに、被害者1人あたりの平均被害額は50%増加(2012年197ドルから298ドルに増加)した。日本では48ドル(約4799円、9月27日時点)から294ドル(約29394円、同)となり、昨年比で約512%の増加となった。世界的に見ても大きな数字だ。
この増加について岩瀬氏は「ランサムウェアの台頭」が背景にあると分析した。従来、攻撃の多くを占めていた「偽セキュリティソフト」ではセキュリティソフトを装う金額でしか要求できなかった。だが、ランサムウェアでは自由な金額を設定できる。そのため被害額が大幅に増加したのではないかと推測している。サイバー犯罪の被害者は世界全体で年間3億7800万人で1日あたり100万人を超え、毎秒12人の計算になる。日本では年間400万人、10秒に1人という状況だ。
岩瀬氏は、仕事と娯楽の境界線が曖昧になったとする調査結果も紹介した。私物のデバイスを仕事でも利用しているユーザーは49%とほぼ半数おり、36%がその際の使用ポリシーが会社にないと答えた。
30%のユーザーは、仕事用のデバイスを子供に遊ばせたり、情報のダウンロードやオンラインショッピングをさせていた。同一のオンラインストレージに個人用と仕事用の資料をともに保存しているユーザーは24%おり、岩瀬氏は不適切な情報公開を誘発する危険があると同時に、犯罪者にとって魅力的な状況であると警告する。
ソーシャルメディア上での行動については、日本のユーザーのリスクの高さが露呈する結果となった。セッションの終了後にログアウトしないユーザーは77%に上り(世界は39%)、他人とパスワードを共有したことのあるユーザーは47%(同約25%)、知らない人とつながっているユーザーは66%(同31%)であった。
24%は潜在的なセキュリティリスクよりも、常時ネットにつながっている利便性が優先されると答えた。岩瀬氏は、セキュリティの意識の低さ、認識の甘さを犯罪者は見逃さないとして、適切な対策と正しいセキュリティ意識が必要であるとした。
同調査はこれまで「ノートン ネット犯罪レポート」として毎年実施していたもの。今回からは犯罪だけでなくユーザーの習慣や考え方といった動向も踏まえた調査となったことから、名称から“犯罪”を外したという。7月4日~8月1日に世界24カ国の18~64歳のオンラインユーザーを対象に調査した。回答者数は13022人(日本は500人)となっている。
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