サイバー犯罪を担当する警察関係者とサイバーセキュリティに従事する産官学関係者が一同に介し議論する「サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム」が和歌山県立情報交流センターBig・Uで5月19日から3日間にわたり開催された。
20回目を迎えた今回は、「サイバー犯罪 温故知新」をテーマに、過去20年間のサイバー犯罪の歴史について、セキュリティ研究の専門家や法律家、企業会計監査らがそれぞれの視点から解説した。最終日には高市早苗総務大臣も出席し、祝辞の中で増加するサイバー犯罪に対する政府の具体策などについて発表している。
最初に、日本で起こるさまざまなサイバー犯罪に法的立場から取り組み、20年間連続でシンポジウムに参加している岡村久道弁護士が「ネットの法律紛争と法整備-20年の歴史を駆け足で振り返る」と題して話した。日本で最初にサイバー犯罪と認識されたのは1981年の「三和銀行オンライン詐欺事件」だ。シンポジウムが開催された1997年以降から、オンラインに関してどのような法規制が制定されたのかを解説した。
Windowsの普及でインターネットの商用利用が一気に広がった結果、不正アクセス禁止法や通信傍受法などが次々制定されたが、90年代後半はセキュリティよりインフラ整備が優先される状況であった。2000年にようやくIT基本法が制定されたものの、セキュリティへの言及はなく、翌年に採択されたサイバー犯罪条約も国内法の整備が遅れたことにより、発効が2004年、批准は2012年までかかっている。
その間、2006~2007年はYahoo! BBやTBCなど顧客漏えい事件が続くが、企業の情報漏えいが罰則化されたのは2008年からで、マルウェアやフィッシング対策、プライバシーに関する規制が進んだのは2011年から2013年だ。これらのさまざまな問題に対し、2014年にサイバーセキュリティ基本法が制定され、国も危機感を持って対策を進める状況になったという。
あわせて「情報処理安全確保支援士のような国家資格制度も登場しているが、今後もサイバー犯罪は進化し、国際化、組織化しており、対応するには幅広い分野の専門家が協力する必要がある」と岡村氏は言い、参加者に対し一層の取り組みを呼びかけた。
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