人工知能の話をするとき、決まって映画「ターミネーター」に登場する破壊的なコンピュータシステム「スカイネット」に言及する人がいる。
だが、ロボット集団が台頭するディストピアを心配する必要はなさそうだ。少なくとも、これはGoogleで検索部門を率い、AI部門の元幹部であるJohn Giannandrea氏の見解だ。
なぜなら、そうしたシナリオに近付くことがあるとしても、相当先の話だと、Giannandrea氏は米国時間5月20日、カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle本社近くで開催された同社の年次開発者会議「Google I/O」で語った。
「この分野の研究者たちは、その点についてあまり考慮していないと思う。このような懸念が出てくるのは何十年も先の話だろう」(Giannandrea氏)
Giannandrea氏は、「超知能(Superintelligence)」と呼ばれる概念について語り、これを「AIがさらなるAIを生み出すこと」だと表現した。
同氏はまた、人工知能コミュニティーには、そうした概念や機械学習の背後にある倫理上の問題点に注目する人々が、多くはないが存在すると指摘した。同氏によれば、Googleはそうした研究者と協力し、この種の調査を後押しするという。
この点は重要だ。Googleは自社の未来をAIに賭けてきたからだ。最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏は18日、Google I/Oの開幕基調講演に登壇し、「Google Assistant」と呼ばれる新サービスで、Googleを人々の生活のあらゆる部分にもたらすことについて語った。Google Assistantは、同社の検索エンジンをはじめとするさまざまなサービスを音声制御で実現するもので、スマートフォンやスマートウォッチ、自動車、リビングのスピーカなどに搭載されることになる。ユーザーが使用すればするほど、同機能はユーザー自身について学習し、さらに賢くなる。
Pichai氏は基調講演で、Googleの研究グループがオブジェクトを拾うように学習させたいくつかのロボットアームを紹介する映像も披露した。画期的なことの1つは、1台のロボットアームが、あるオブジェクトを押しのけて別のオブジェクトを拾って見せたことだった。これはロボット自体が学習した動作だ。その巧みな動きは、劇的であると同時に落ち着かない気持ちにさせるものだった。
Giannandrea氏は、「それは、ロボットのようなものが物を拾い上げる方法を学ぶのを見ると、人はどういうわけか本質的に不気味だと感じる事実とも結びついている」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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