Google I/O 2016

グーグルのS・ピチャイCEOに聞く--「Google I/O」で披露のAIビジョンや新製品の狙い(前編) - (page 2)

Richard Nieva Connie Guglielmo (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年05月23日 07時30分

 その様子は、あたかもGoogleが、あの質素な白色のホームページから、ユーザーの所有するあらゆるテクノロジ(スマートフォン、自動車、スマートウォッチ)とユーザーの使用するあらゆるオンラインサービスへと自らの本質を転換しようとしているかのようである。現在の検索ボックスと異なり、このアシスタントは、そのユーザーのことをその行動から学習する。ユーザーがベジタリアンであることを知れば、夕食にステーキハウスを勧めることはしないだろう。コンテキストも理解する。NBAのチーム、Golden State Warriorsの観戦チケットを最近購入したユーザーが次に「Curry」について言及したとき、このアシスタントは、それが「Thai curry」(タイカレー)ではなく、「Stephen Curry」(ステファン・カリー選手)のことであるのを理解する。

 こうしたすべてのことが、情報の利用方法が根本的に変わることを示している、とPichai氏は話す。

 次のように考えると分かりやすい。人々がオンラインを利用するようになってからほぼずっと、インターネットは金づちや図書館カードのような道具として存在している。人々は必要なときにそれらの道具を利用する。しかし、金づちが自動的に家を建ててくれることは決してない。ユーザーが20世紀初頭の建築について読んで調べていたとしても、米国の伝統的なクラフツマンスタイルの外観の家を金づちが建ててくれることなどあり得ない。Googleが望んでいるのは、そうした予想以上のことを実現する強力な金づちになることである。

 「つまり、Googleがユーザーに、『こんにちは。何か私が役に立てることはありませんか』と尋ねるということだ。自分専用のGoogleを築き上げていくことと考えてもらってもいい」(Pichai氏)

 デジタルアシスタントの概念は新しいものではない。Appleは30年近く前、「Knowledge Navigator」というコンセプトマシンのビジョンの一環として、「Phil」と名付けられたデジタルコンシェルジュで世界の人々の興味をそそった。今日、Appleには「Siri」、Microsoftには「Cortana」、Amazonには「Alexa」がある。映画の中の話をすると、「アイアンマン」のトニー・スタークには「Jarvis」がある。

 Googleも何年も前からデジタルアシスタントに取り組んでいる。

 「Google Now」は関連性があると判断した情報をスマートフォンに表示する。それに部分的に貢献しているのが、10億以上の存在物(人々や場所、モノ)とそれらの関係性を理解するGoogleの「Knowledge Graph」だ。Pichai氏は今、そのノウハウをより多くの場所に応用することを望んでいる。さらに、Googleがライバルを打ち負かせたのは、「世界中の情報を整理」してきた検索企業として、受け継がれてきた文化があるおかげだ、とも考えている。

 オーディオやビデオをストリーミングするスティック型デバイス「Chromecast」など、Googleのリビングルーム向けデバイス群の製品管理担当バイスプレジデントを務めるRishi Chandra氏は、「ユーザーのあらゆる質問に答えるエンジンとして、これより優れたものはない。われわれは根本的にそう信じている」と述べた。

 世界のほかの人々についても同じことが言える。世界のユーザーはGoogleのホームページで1年に1兆件以上の検索を実行する。それは1日あたり約30億件の検索に相当する。今から10年前、Googleは2つの言語を翻訳していた。現在では、100を超える言語で人々と話をし、毎日1400億以上の単語を翻訳している。

これからのサービス

 Pichai氏はしばらく前からAIと機械学習を褒めそやしているが、このアシスタントがDNAに組み込まれた製品群をGoogleが初めて発表する場となったのが今回のGoogle I/O 2016だ。

 Chirp(正式名称が「Google Home」に決まったスマートホームスピーカー)は極めて大きな注目を集める可能性が高い。AmazonのEchoと異なり、Google Homeは家具類と調和するように、物理的なデザインをカスタマイズすることができる。パーツを取り替えることができるので、例えば、Google Homeを寝室に置きたい人は別の色の布製パーツを選び、キッチンに置く人は金属仕上げのパーツを選ぶ、といったことが可能だ。

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