Googleはすべてのユーザーに段ボール箱を装着してもらいたいと考えている。その気持ちが高じて、同社はAppleの「iPhone」向けアプリ開発者がもっと簡単に仮想現実(VR)アプリを記述できるように支援する計画を発表した。
これは重大なことである。なぜなら、まず、iPhoneはGoogleの「Android」モバイルOSを搭載するスマートフォンの最大のライバルだからだ。次に、iPhoneを装着した「Google Cardboard」で視聴可能な仮想現実アプリを開発者が簡単に作成できる方法は、これまで存在しなかったからだ。
Googleは米国時間3月30日、iPhone向けソフトウェア開発キット(SDK)をリリースして、Appleのテクノロジをより完全に受け入れた。SDKはテクノロジ用語で、プログラマーがさまざまな端末の特定機能を利用するアプリを記述できるように支援するソフトウェアツール群を指す。
VRに関して言えば、Googleのアプローチは地味だ。同社のCardboardヘッドセットは文字通り段ボールでできている。約25ドルで購入可能で、ユーザーのスマートフォンをVRスクリーンに変身させる。Cardboardアプリは、AndroidスマートフォンとAppleの「iOS」モバイルソフトウェアを搭載する「iPhone」の両方で利用可能だ。AndroidとiOSは最も人気の高い2大モバイルOSで、世界中のスマートフォンの約97%に搭載されている。
新しいSDKを利用すると、ソフトウェア開発者は360度動画(視聴者は動画シーン内で上下と周囲を見渡すことができる)をより簡単にiPhoneアプリやAndroidアプリ、ウェブに埋め込むことができる。深海ダイビングを体験させてくれる旅行アプリや、マンションのバーチャルツアーを提供する不動産アプリを想像してほしい。
GoogleのiPhone向けVRへの取り組みは、シリコンバレーが新興テクノロジである仮想現実に夢中になっていることを示す最新の事例に過ぎない。今週、Facebookも「Oculus Rift」VRヘッドセットのコンシューマー向けバージョンの販売を開始している。2015年11月には、サムスンもOculusとの提携の一環として、「Gear VR」と呼ばれるゴーグルを発売した。
GoogleはCardboardの開発を継続しており、2016年5月に、製品名のもとになった段ボールの代わりにプラスチックを採用した新バージョンをリリースする見通しだ。スマートフォンの画面をビューアとして使用しない、全く新しい端末を発表する可能性もある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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