ソニー「冴えカノ」加藤恵Projectで見た“最先端技術でキャラの魅力を拡張する研究”

 3月26日と27日の2日間、東京ビックサイトにて開催されたアニメイベント「AnimeJapan 2016」のメインエリアにおいて、「加藤恵Project」なるブースが出展していた。

  • 白を基調とした「加藤恵Project」ブース。多くのファンが彼女の魅力を体験するために集まっていた

 加藤恵とは、原作丸戸史明氏、イラスト深崎暮人氏によるライトノベル「冴えない彼女の育てかた」(冴えカノ)に登場するヒロイン。同作は2015年にテレビアニメ化されており、2017年4月からはフジテレビのノイタミナ枠にて、新たに「冴えない彼女の育てかた♭」として放送予定となっている。

 企業や作品タイトルではなくキャラクターを冠したブース名で、ブースは「キャラの薄さの奥にある“魅力”に迫る魅惑の空間」というキャッチコピーのもと、加藤恵のみをフィーチャー。ブース内に作品紹介やほかのキャラクター、企業ロゴなども掲出されておらず、一風変わったブースとなっていた。

 実はこの加藤恵Projectを出展したのはソニー。そしてブースでは“技術の無駄遣い”といえるほどの最先端の技術を投入して加藤恵をより魅力的に、そして現実世界に引き寄せるような展示が行われていた。その模様とともに、加藤恵役の声優である安野希世乃さんが来場した様子もあわせてお届けする。

 ちなみにブースには等身大フィギュアが展示。このフィギュアは10体限定で販売予定としていたが、価格が税込198万円にもかかわらず申し込み者が多数により20体に増産が決定し、それでも完売したという経緯がある。それだけ加藤恵には、愛着を持つ熱心なファンが存在する。

  • 加藤恵の等身大フィギュア。身長は158cm

  • 別角度から。このフィギュアを写真に収めようとするファンも多く、人だかりができていた

  • コスプレのコンパニオンさんも人気。スタッフも含めて研究者風の白衣を着用していた

4K BRAVIAで対話ができる「めざましマネージャー 加藤恵」

 ブース内でひときわ注目を集めたのが「めざましマネージャー 加藤恵」のプロトタイプだ。めざましマネージャーは、朝の目覚めなどを声でサポートしてくれるスマートフォン向け(Android専用)音声対話型エージェントアプリ。朝起こしてくれるだけではなく、その日のスケジュールを教えてくれたり、クラウドを活用してキャラクターと音声対話ができるのが特徴。キャラクターも1枚絵ではなく、Live2Dによって表情豊かに変化する。現在までに「ソードアート・オンライン」のアスナ、「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」のLikoの2種が配信されている。

 そしてこのプロトタイプはスマートフォンではなく、Android TVを搭載した4K BRAVIAで展示。大画面かつ4Kの高画質に対応したLive2Dのキャラクターグラフィック表現や、Android TVでも動作できるようにする研究として出展されたものだ。

「めざましマネージャー 加藤恵」のプロトタイプ
「めざましマネージャー 加藤恵」のプロトタイプ

 とにかくパッと見ただけでもグラフィックのインパクトは大きい。深崎氏による超高解像のグラフィックモデリングが使われているとのことで、原画イラストがそのまま動いていると言い切れるぐらいのもの。なおかつアップにして近寄ってみてもドットを感じさせないほどで、これだけでも心ときめくものがある。

  • アップにすればするほど、クオリティの高さを実感。しかも一枚絵ではなく、Live2Dで自然な形で表情を変える。カメラに収める人も多かった

  • ちなみに体験コーナーの内側から見えるところに、加藤恵のイラストパネルも展示されていた

 対話については、BRAVIAに付属されているAndroid TVリモコンのマイクを活用。音声についても、安野さんが新規収録したセリフをふんだんに盛り込み、内容も丸戸氏の監修を受けたもの。「いってきます」や「大好きです」といった定番の内容から、「今日の天気は?」といった天気予報までインタラクティブに反応して話してくれる。

 天気予報など一部に合成音声でしゃべらせているところもあるが、最新の技術を投入し今まで以上に高いクオリティを出しているという。もともとめざましマネージャーでは合成音声だと感じさせない工夫を随所に凝らしているが、このプロトタイプでも違和感を感じるところは少なかった。

 関係者によれば、今回のプロトタイプはグラフィックや技術面でも一線級の人材を投入したうえ、加藤恵に強く愛着を持つエンジニアらが作り上げたものと説明。展示では音声対話の体験にとどまっているが、例えば朝、自動的にテレビが立ち上がり、大画面の加藤恵が起こしてくれるという、どう考えても幸せな気分で目を覚ますことができるような体験も機能的には可能だという。

 今回のプロトタイプはあくまで技術開発と研究目的として作られたものであり、Android TVあるいはスマホアプリとしてリリースすることについては未定という説明があった。もっとも、公式Twitterの運用が開始されたところを見るに、製品版に向けた開発が進められていると思っていいだろう。またこれは筆者の妄想にもなるが、テレビに秘書的な役割を持つコミュニケーションアプリを搭載することが実現するなら、自分好みのキャラクターが対話を通じたインタラクションによって番組をオススメしてくれるなど、そんな展開もあってもいいのではないかと感じさせるものになっていた。

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