Appleが米国時間3月21日のイベントで新型スマートウォッチを発表することを期待していた人は、今少しがっかりしているかもしれない。
その代わりに発表されたのは、既存の「Apple Watch」の値下げと複数の新しいバンドだった。しかし、2016年に入ってから新製品の発表を見送っているスマートウォッチメーカーは、Appleだけではない。
2016年最大のテクノロジイベントの2つ、すなわちラスベガスで開催のCESとスペインのバルセロナで開催の「Mobile World Congress」(MWC)展示会では、新しいテレビやスマートフォン、家電製品が多数披露されたが、スマートウォッチはほとんど見られなかった。FitbitはCESで新型スマートウォッチを披露した数少ない著名企業だったが、それだけ奮闘したにもかかわらず、同社の株価は過去最低の水準まで下落した。MWCで最も大きな注目を集めたスマートウォッチは、Haier(ハイアール)が発表したものだ。Haierはスマートウォッチより洗濯機の製造でよく知られる企業である。
この状況を、スマートウォッチが旋風を巻き起こした2015年と比べてみてほしい。サムスンやHuawei(ファーウェイ)、LGなど、さまざまな企業が自社のウェアラブルをひっさげて、スマートウォッチ市場に参入した。もちろん、Apple Watchの発売も忘れてはいけない。
それがどうしてこのような状況になってしまったのだろうか。2016年になって新型スマートウォッチがほとんど発表されていないことは、ようやく軌道に乗ろうとしていた事業が不活発期に入ったことを示唆している。Appleが新しいバンドを発表したことが示すように、2016年は新世代のウェアラブルというよりむしろ既存製品の洗練化が中心になるかもしれない。ひょっとすると、そうなることで、ようやくスマートウォッチがメインストリームの消費者に受け入れられる段階に達するという可能性もある。
CCS InsightのアナリストであるGeorge Jijiashvili氏は、「2016年に入って、主要なメーカーから新型スマートウォッチの発表があまりないのは事実だが、既存端末のラインアップへの重要なアップデートは多数あった」と述べている。
2015年はスマートウォッチにとって、よい年だった。出荷台数は2200万台で、スイス製腕時計の出荷台数を初めて上回った。とはいえ、平均的な消費者がスマートウォッチを欲しがっているのかどうか、あるいは、ウェアラブルはガジェットマニア向けの玩具に過ぎないのかどうかは不明だ。
アナリストは強気である。Jijiashvili氏によると、ウェアラブル市場は2016年に3分の1近く成長して63億ドル規模に達する見通しだという。
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