人気作品「ソードアート・オンライン」の世界観を日本IBMが再現し、体感できるイベント「ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM」。3月17日にその模様を報道関係者向けに公開した。
ソードアート・オンラインは、仮想現実大規模多人数オンライン(VRMMO)ゲーム「ソードアート・オンライン」を舞台に繰り広げられる川原礫氏原作の小説で、アニメ化など多方面に展開されている作品。
今回のイベントは、作中では2022年にサービスを開始しているソードアート・オンラインが、実は2016年にアルファテストを行なっていたという設定のもと、IBMのクラウド・サービス「SoftLayer」を活用してソードアート・オンラインを再現し、それを体験できる内容。
イベントは3月18~20日の3日間開催。2月にアルファテスターの募集を告知したところ、募集人数が208人のところ、10万人を超える申し込みがあったという。申し込みは既に締め切られている。
イベントでは参加者自身をスキャンし、その3DモデルがアバターとしてVR空間内に登場。作中の舞台である浮遊城アインクラッドの「はじまりの街」を歩き回ることができるほか、モンスターとの戦闘シーンも用意されている。
プレイヤー自身のスキャンでは、真っ白な空間の中で「大」の字のような、両手を広げた姿勢で撮影。複数台のカメラによってスキャンされた3Dデータをコンテンツ向けに加工し、3Dアバターを作成する。
その後、作中でも象徴的なマシンともいえるヘルメット型のVRマシン「ナーヴギア」を装着。システムはOculus Riftを活用したもので、マイク機能も有しており、VR空間内でのプレイヤー同士の音声会話も可能となっている。準備が整うと、作中と同様の「リンクスタート」のかけ声によってログインを行う。
はじまりの街の広場に降り立つと、立ち並ぶお店などアニメで見慣れた光景が広がる。そしてガイド役となる「コグ」(声:伊藤かな恵)も登場し、さまざまな説明やアドバイスを行う。ちなみにコグはIBMのコグニティブ・コンピューティング・システム「IBM Watson」が、未来のゲームに活用されたらどうなるのかをイメージしたキャラクターになっている。
その後、場所を移動し戦闘シーンに。原作では74層のボスとして登場したグリームアイズの原型となるモンスターのグリームアイズ・ジ・アンセスターが登場。空間上で武器を握り戦いを挑む。単に武器を振って攻撃するだけではなく、モンスターの攻撃をしのぐ防御の姿勢をとったり、ソードスキルを発動するシーンも用意されている。ちなみにどの武器を使うかは、はじまりの街の行動によって異なるという。
筆者も実際に体験してみたが、没入感はとても高い。ログイン時をはじめ、体力や名前の表示などはアニメを踏襲。特にメニューの操作もアニメそのままであり、空間上に表示されるメニューに手でタップできるだけでも「おおっ」と感動してしまう。自分の手がVR空間上でも再現され、指を握る動作もスムーズに表現できていることそのものにも驚いた。はじまりの街の散策は、足にセンサを取り付けその場で足踏みをし、体の向いている方向に前進していくという形。少し大きめの足踏みをする必要があり、コツをつかむ必要はあったが、その場の足踏みでも空間の中を歩いて見て回れる感覚は新鮮だ。ちなみにパン屋では、あの「黒パン」も扱っているなど、細かいところまで再現している。
戦闘シーンでも大剣を振り回すほか、はじめさまざまな方法で攻撃してくるモンスターの姿は圧巻だ。さらにこちらが手にする武器も作中でキリトとアスナが使っていたものであり、筆者の場合は剣だったが、それを振る動作で攻撃を加え、モンスターに傷がついていく姿など臨場感も高い。そしてキリトのように二刀流で剣を振るった上で、ソードスキルの発動。“自分カッコイイ”みたいな気分にも浸れる。
今回のコラボはIBMの最新技術がいかにビジネスや生活に変革をもたらすか、テクノロジーが切り開く未来と将来の可能性について体感することを目的としたもの。今後の展開についても未定としている。内容は、あくまでVRの体験という範囲になるが、ここまでくると、足踏みだけではなく本当に歩き回ることができたら……、攻撃したときや攻撃を受けたときの振動があったら……と、より感覚に訴えかけるものを求めてしまうぐらいに魅力的だった。少なくともVRMMORPGの片鱗と未来を感じさせるに十分な内容となっていた。
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