エプソンが20年トップシェアを守り続けているビジネスプロジェクタ市場に新製品を投入する。レーザー光源を使用し、最大2万5000ルーメンの明るさを確保。大会議室やイベント会場などの常設に最適な高光束(高輝度)モデルになる。
発表されたのは、レーザー光源を搭載した3LCDプロジェクタ「EB-L25000U/L1505U/L1500U/L1405U/L1300U/L1100U」6機種と、ランプ光源を使用した「EB-G7900U/G7400U/G7200W/G7000W/G7800」5機種の全11機種。5月下旬から12月にかけて発売する。
レーザー光源モデルでは、3LCD方式で世界最高となる2万5000ルーメンを実現したフラッグシップ機EB-L25000Uをはじめ、1万2000、8000、6000ルーメンのモデルをラインアップ。従来、レーザーなどの強い光源に対し、液晶パネルは劣化が進むとされていたが、新製品では無機化を進めることで、強い光源にさらされても耐久性を維持する新パネルを搭載。このほか蛍光体など、無機素材部品を増やすことで、2万時間のメンテナンスフリーを実現した。
画質補正には、カメラ内蔵による「自動画質補正機能」を採用。複数台の色の違いを同時に補正できるほか、設置調節時間の短縮にもつながるとしている。
ランプ光源モデルには、5500、6500、7000、7500、8000ルーメンを実現する5モデルを用意。100万円未満のモデルでトップクラスの明るさを確保しているほか、電動フォーカスやレンズシフトなどにより設置性を向上。設定をメモリしておけば、適切な投映サイズや位置を自動で設定するメモリ機能も内蔵する。
レーザー光源モデル6機種とランプ光源モデルのEB-G7900U/G7400Uには、1画素を斜め0.5画素シフトすることで、解像度を2倍にし、4K解像度を実現する「4Kエンハンスメントテクノロジー」を搭載。EB-L1000(EB-L25000U/L1505U/L1500Uを除く)、EB-G7000は、別売のゼロオフセット超短焦点レンズと組み合わせることで、1mの投写距離で134インチの大画面を投写することが可能だ。
エプソンは、ビジネスプロジェクタ市場全体でトップシェアを獲得しているが、4000ルーメン以上、本体重量5kg以上の高光束モデルではNo.1シェアを獲得していない。エプソン販売代表取締役社長の佐伯直幸氏は「今後の成長が見込まれている高光束市場だけにぜひともNo.1シェアをとって、正真正銘の国内No.1プロジェクタメーカーになりたい」と意欲を見せる。
レーザー光源を、ビジネス用途で採用するのは初めてだが、ホームプロジェクタでは「EH-LS10000」で採用済み。「ホームユースモデルの開発で培ったレーザー光源技術を、ビジネス用で適用できることが可能だと判断した」(セイコーエプソンビジュアルプロダクツ事業部副事業部長の大寺篤氏)と、市場投入のタイミングについて説明した。
佐伯氏は「プロジェクタ市場で何より重要なのは他社との差別化。エプソンでは、3LCDのコア技術をはじめ、デバイスから完成体製造までを垂直統合で一貫してやっている。このような形だからこそ、ユーザーの要望を実現でき、デバイスや商品開発力につなげていけると信じている。今回のモデルでは、3年間もしくは2万時間の保証期間を設けたが、こうした取り組みもすべてを自社生産しているからこそ達成できた」とシェアトップを続けている要因を分析した。
エプソンでは、レーザー光源モデルの投入により、会議室などのほか、商業施設のサイネージ、パブリックビューイング、イベントなど、市場領域を拡大していく方針。今後1年間で高光束プロジェクタの販売台数5000台、2016年度の高光束領域のシェア22%(対前年4ポイントアップ)を目指す。
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