米司法省は米国時間3月7日、Appleとの争いで新たな攻勢に出た。同省は、ニューヨークで麻薬密売の容疑者に関連する「iPhone」のロックを解除するようAppleに請求していたが、先ごろニューヨーク州の連邦地方裁判所がこの請求を棄却したのを受けて、上級判事に判断を見直すよう求めた。
同州ブルックリンにある連邦地裁は2016年2月、米政府が「All Writs Act(全令状法)」と呼ばれる227年前の法律を持ち出しAppleに特定の端末のロック解除を求める権限はないとして、請求を棄却したが、今回の司法省の動きはこれを受けて予想されていたものだ。
All Writs Actは、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件で容疑者の1人が使用していた「iPhone 5c」の中身をめぐり、注目が集まっているAppleとの別の争いで司法省が使いたいと考えているものと同じ法律だ。
米連邦検事は、James Orenstein下級判事による2月29日の判断に対し見直しを求めた、51ページにわたる3月7日付の書類の中で次のように述べた。「Appleは、現時点でそうする能力がないことをするよう求められているわけではない。Appleはこれまでに何度も、今回のようにAll Writs Actに従ってiPhoneからデータを取り出したことがあり、これにはニューヨーク州東部地区米連邦地方裁判所で出された命令を受けて実行した件も含まれる」
Orenstein判事の判断はカギを握ると考えられている。というのも、銃乱射事件の容疑者が所有していたiPhoneのロックを解除するよう求めた2月16日の裁判所命令に対し、これに協力する必要はないというAppleの主張を確固たるものにする前例を作る可能性があるからだ。Appleは、モバイルOS「iOS」の新しいバージョンを作るよう求める米連邦捜査局(FBI)の要請は、すべてのiPhoneに「バックドア」を設けることになり、顧客がハッカーによる攻撃を受けやすくなると主張している。Appleはまた、このケースはより広範なプライバシーの問題に関わると述べた。
Appleは3月7日の声明で次のように述べた。「Orenstein判事はFBIの要請が『憲法の基本原則を著しく損なう』ことになるとの判断を示したが、われわれもこれに同意する。われわれは、All Writs Actの乱用によって、すべての人の安全とプライバシーを脅威にさらす危険な坂を転げ落ちることになるという判事の懸念を共有している」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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