ニューヨーク州連邦地方裁判所は米国時間2月29日、米政府が「All Writs Act(全令状法)」と呼ばれる227年前の法律を持ち出してAppleに特定の端末のロック解除を求める権限はないとして、請求を棄却した。米政府のこの請求は、2015年10月に裁判所に提出されたもの。同年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件で容疑者の1人が所有していた「iPhone 5c」のロック解除をめぐり、Appleと米連邦捜査局(FBI)の争いに注目が集まっているが、本件はこれとは別である。
別件とはいえ、今回の裁判所の判断は、Appleが2月16日の裁判所命令に従い、容疑者の所有するiPhoneのロック解除に協力する必要はないとする同社の主張を強める根拠となる可能性がある。Appleは、新たな「iOS」の作成を求めるFBIの要請はあらゆるiPhoneに「バックドア」を生み、顧客がハッカーによる攻撃を受けやすくなると主張している。
Appleのある上級幹部は29日の報道機関との電話会議の席上、今回の判断が先例となり、サンバーナーディーノの事件に関連する裁判所の判断にも影響する可能性を指摘した。Appleによると、ニューヨーク連邦地裁のJames Orenstein判事は、All Writs Actを持ち出して同社に新たなiOSの作成を求めることは危険な憲法違反だとする、同社の主張を支持しているという。
米司法省(DOJ)は、ニューヨークの裁判所が下した29日の判断に「失望した」と述べる一方、今後も司法制度を使って、問題のiPhoneにアクセスする努力を続けると表明した。
「これまでの裁判所申し立てで明らかなように、AppleはこのiPhoneのデータにアクセスできるよう政府を支援することに明示的に同意した。同社は過去にも似たような状況下で何度も政府に協力している。政府の協力要請が裁判所によって公開された今回に限って、同社は方針を変更した。この端末には、われわれが目下取り組んでいる犯罪捜査を進展させる証拠が含まれている可能性がある」(DOJ)
ニューヨークでの申し立ては、容疑者とされる麻薬密売人が所有する端末に関するもので、政府がAll Writs Actを使って、容疑者の端末にアクセスできるようAppleに協力を要請できるかが審理された。Orenstein判事は、本件にこの法律を適用することはできないとの判断を下した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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