名刺管理ソリューションを提供するSansanは、世界唯一でCWO(チーフ・ワークスタイル・オフィサー)を置くなど、働き方や生産性の向上といったワークスタイルの最適化に力を入れている企業のひとつだ。
Sansanは法人向け、個人向けに、カメラやスキャナーで取り込んだ名刺画像を読み取ってデータ化するサービスを提供。OCRだけに頼らず実際に人がデータ化するため、正確さや早さが評価されている。また法人導入した場合、社内の人脈が一元化され、営業活動の効率化につながるとされる。そのサービス内容以上に注目されているのが「Sansan神山ラボ」の存在だ。Sansanは東京に本社を構えているのみで、支社をもたない。そのSansanのサテライトオフィスが、徳島県神山町にある「Sansan神山ラボ」で、この地域は人口6000人程度のうち65歳以上が半数を占める「限界集落」でもある。この町を活性化させる事業に乗った形で、このサテライトオフィスは開設されたという。
Sansan 取締役CWOの角川素久氏は、「大きな農家から古民家を借り受けて、徐々に改装しながら使っている神山ラボの目的は、生産性向上。本社の3分の1がエンジニアだが、1フロアに営業も一緒にいて電話対応などをしているため、集中できる環境ではない。うるさくてイヤフォンをしてしまっている。そんなエンジニアの創造性・生産性を高めることが当初の狙いだった」と語る。
神山ラボの具体的な使い方として、部署やプロジェクトが丸ごと数日単位で滞在する「合宿」形式のほか、希望者が上長の許可を得て2週間から1カ月程度滞在する長期滞在型の利用がある。また、新入社員研修や営業合宿でも利用するなど、全社員にとって親しみのある場でもあるという。
角川氏はこのように、「当初は合宿的な使い方を想定していたが、今では常駐勤務者も2人いる。家族で滞在した例もある。福利厚生が充実していると誤解されることもあるが、これは働く場所。東京よりハードに働いている部分もあるが、思わぬ副産物として社員が元気になって帰ってくることもある」という。
企業にとって「ワークスタイル最適化」の重要性が叫ばれる昨今だが、Sansanにとっても神山ラボの取り組みはその一例でしかない。最適な働き方を考え、生産性を向上させるために、今後Sansanはどのような戦略で取り組むのか。2月18日開催の「CNET Japan Live」の展示会場におけるミニセッションで「ちょっと未来の働き方--2020年のワークスタイル」と題して事例を交え解説される。また、同日のセッションTrackB-2では「~2020年には常識 シェアすれば違う世界が見えてくる~クラウドデータベースによる顧客情報の全社一括管理」と題して、企業の組織力を向上させる顧客管理の新しい活用法などが講演される。
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