グリーは2月4日、2016年6月期第2四半期(2015年7月~12月)の連結決算を発表。売上高は374億3600万円(前年同期比で24.4%減)、営業利益は83億8500万円(同24.5%減)、経常利益は85億1200万円(同43.5%減)、純利益は49億3700万円(同41億7900万円の赤字)となり、前年比で減収減益となった。
四半期ベースで見ると、売上高は181億3000万円(前四半期比で11億8000万円減)、営業利益は40億円(同3億9000万円減)、経常利益は45億1000万円(同5億2000万円増)、純利益は25億4000万円(同1億5000万円増)で、減収は続いているものの、前回の業績予想を上回る決算としている。
国内でのネイティブゲーム事業については、コイン消費が46億コインと前四半期比で3億コインほど減少。主力タイトルである「消滅都市」は著名アーティストとのコラボを通じたテレビCM展開などが奏功し、2015年12月は単月最高売上を記録したという。海外でのネイティブゲーム事業はコイン消費が37億コインと前四半期比で2億コインほど減少。「Knight&Dragons」の欧州版を10月にリリースし堅調に推移。減少傾向が続いているものの、海外全体でのコイン消費は安定化に向かっているという。ウェブゲーム事業はコイン消費が158億コインと前四半期比で10億コインほど減少と、こちらも減少傾向が続いているものの減少幅がゆるやかになっていることに加え、新規IPを活用した協業タイトルが好調な立ち上がりを見せているという。
新規領域事業として展開している住まいPF(プラットフォーム)事業は、リフォームECサービスの「リノコ」が四半期比1.3倍の売上があり、またヘルスケアPF事業では、レッスンフリーパスサービスの「Lespas」の加盟店数が増加、広告メディア事業における動画広告配信プラットフォーム「AdColony」も取扱高が順調に伸びているなど、着実に規模を拡大し手応えを感じているとしている。
またVR(バーチャルリアリティ)事業についても触れられた。同社ではVRコンテンツ開発の専門スタジオである「GREE VR Studio」を11月に設立している。グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏は「これまでVRは流行すると言われ続けていたが、これから登場するデバイスやコンテンツを見るに、今までとは確実に違う体験が得られる」とし、VR領域が中長期的に盛り上がりを見せるのではとの見解を述べていた。
決算説明会の場で話題になったのは2点。まずはLINEとゲーム事業においてマーケティングパートナーとして協業。開発スタジオであるWright Flyer Studiosが手がけるスマートフォン向けゲームアプリ「追憶の青」をLINE GAME向けに配信する。取締役執行役員の荒木英士氏は、ゲームに関して東京ゲームショウ2015や闘会議2016といったゲームイベントでユーザーにお披露目するたびに評価を得て、期待値も上がっていることから、内容には自信を持っているという。その一方、アプリゲーム市場は年々“知ってもらうこと”のハードルが上がっているうえ、オリジナルタイトルであればなおのこと高いハードルがあるとし、自社による単独展開以上の成果が得られると判断したことが協業の経緯と語った。
もうひとつは、ゲーム運営に特化した子会社「ファンプレックス」を設立し、既存のタイトルを買取や受託によって運営を担うという、ゲーム運営事業に本格参入する。取締役執行役員の小竹讃久氏は、グリーがゲーム運営に強みがあるという前置きをした上で、各社はゲームタイトルの新規開発を行わなくてはいけないが、ゲーム運営の労力が負担になっている現状があると説明し、実際に引き合いも多くあるという。
田中氏も、新規タイトル開発に人員を振り向けたい事情はグリーとしても同じとして、運営体制を効率化する必要性がこの先も想定されるため、運営を専門とした部隊を作りたかったこと。またウェブゲームとしてのポテンシャルがあるにもかかわらず、売上が減少とともに運営の人員を削減し、さらに売り上げを落としてしまう他社タイトルも多いと指摘。さらにウェブゲームだけではなく、この先ネイティブゲームが主流になってもゲーム運営は重要であることを挙げた。引き継ぐタイトルはすでに一定の収益規模を持っているためリスクは低く、経年によってそのゲーム売り上げが減少する事情があっても、減少幅を抑えて長く運営することができればそれは安定した事業として成り立つとの見解も示した。
なお、2016年6月期通期業績予想を発表。売上高は720億円、営業利益は140億円、経常利益は140億円、純利益は80億円としている。こと下半期の予想として売上高は346億円、営業利益は56億円、経常利益は55億円、純利益は31億円を見込む。売上高と営業利益はそろって上半期から28億円減を想定しているが、売上高の減少がそのまま直結しているのではなく、コストコントロールを行いつつ成長領域に対する先行投資も行っていくためのものとしている。
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