ヤフーとソニー不動産が2015年7月に資本業務提携を結んで以来、ヤフーが運営する不動産情報サイト「Yahoo!不動産」が“物件情報ポータルとして公平、中立ではない”という判断のもとに物件情報の提供を打ち切る業界団体が続いている。
ヤフーと不動産流通経営協会(FRK)は2015年10月に提携解消に合意し、同12月に物件情報の掲載および提供を取りやめた。ヤフーはソニー不動産との資本業務提携にあたり、ソニー不動産の第三者割当増資を引き受けて、出資比率で43.7%を占める18億円を出資している。FRKの担当者は当時、CNET Japanの取材に対して「我々が広告(物件情報)を載せる媒体(Yahoo!不動産)の運営者が不動産業に絡んでいれば、それは中立ではない。普通に考えて、広告を載せようとは思わない」と話していた。
FRKに続いて、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)もYahoo!不動産への情報提供を打ち切る方針を固めた。全宅連は現在、運営する不動産情報サイト「ハトマークサイト」から民間情報サイト(不動産関連会社が運営している物件情報ポータル)を経由してYahoo!不動産に物件情報を提供しているが、これを民間情報サイトにとどめ、Yahoo!不動産には提供しないようにする。全宅連によれば、2月下旬の打ち切りを予定しているが、先延ばしになる可能性もあるという。
全宅連はヤフーと業務提携を結んでいないため、民間情報サイトとの間で、Yahoo!不動産への情報提供に関する取り決めを見直す。
「不動産情報サイトはさまざまな事業者の情報を載せて成り立つものだが、その場を使って(ソニー不動産)一社に利益を誘導するのは、一般的な不動産情報サイトとしてはあり得ないのではないか」――全宅連は、ヤフーとソニー不動産が2015年11月に開始した、個人が不動産仲介会社を通さずに物件を売り出せる「おうちダイレクト」の仕組みなどが、不動産事業者にとって公平、中立でないと指摘する。
同サービスでは、売り主が自由に価格を設定してYahoo!不動産に物件情報を無料で掲載でき、物件の見学が決まった場合には、必ずソニー不動産と媒介契約を結ぶことになる。また、契約の種類は、売り主が複数の不動産事業者に媒介を依頼できる「一般媒介契約」であるものの、ヤフーとソニー不動産はおうちダイレクト以外での売却活動を利用規約で認めていない。
この点について、ヤフーは「将来的にはソニー不動産以外の仲介会社にも本サービスに参加していただくことを検討しているが、サービス開始当初は、個人間の取り引きで安全に進められるかなどを検証するため、ソニー不動産のみが仲介業務を提供している」と現在の方針を説明した。
全宅連による物件情報の提供が打ち切られることでYahoo!不動産に掲載される物件情報件数がどの程度減るのかについて、ヤフーに2月1日に問い合わせたが、5日21時時点までで具体的な回答は得られていない。
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