ヤフーとソニー不動産は11月5日、マンションの所有者(売り主)と購入検討者(買い主)を結びつける個人向け不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」を「Yahoo!不動産」で公開。売り主向けのPC版サービスを開始した。売り主は、不動産仲介会社を通さずに、自分のマンションを自分が決めた価格で売り出せる。当初は東京都千代田区、中央区、港区、渋谷区、品川区、江東区のマンションが売り出しの対象で、随時拡大していくという。
売り主は物件を「Yahoo!不動産」に無料で掲載できる。成約仲介手数料は売り主は無料で、買い主は「成約価格の3%+6万円」。買い主向けのPC版サービスは11月16日に開始予定。買い主は、まだ売りに出されていないマンションに「購入希望の意思表明」をしたり、売り手に対して物件に関する質問をしたりできる。
両社は、売り主の価格設定を手助けするために「不動産価格推定エンジン」を共同開発した。ソニーR&Dのディープラーニング技術を核とし、ソニー不動産が持つ不動産査定のノウハウや不動産取引に特有の知識を導入したもの。不動産関連情報のデータを独自のアルゴリズムにもとづいて解析し、不動産売買における成約価格を統計的に推計するという。
ソニー不動産は、取り引きをする人の個人情報や反社会的勢力でないことの確認、買い主による物件見学や売買代金の決済、物件の引き渡しなどの不動産取引実務を担う。
売り主と買い主のマッチング機能に加え、物件の価格やマンションの人気度などに関する情報を提供。マンション売買を今後検討する可能性のある人も取り込みたい考えだ。
ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は発表会見の席上、「我々はディスラプターとして取り組みたいわけではない」と強調し、不動産売買方法の選択肢を増やしたいと話した。一方、ソニー不動産代表取締役社長の西山和良氏は「不動産取引市場の透明化を徹底していきたい。クローズドではなく、オープンでフェアなプラットフォームを構築していきたい」と意気込みを語った。
両社は7月に資本業務提携を結び、ヤフーはソニー不動産に18億円を出資したと発表した。出資比率は全体の約43.7%を占める。これを受けて、大手不動産業者で組織する不動産流通経営協会(FRK)は、情報ポータルとしての中立性が損なわれるとしてヤフー(Yahoo!不動産)への物件情報の提供を打ち切る方針を固めた。FRKとヤフーは提携解消に合意しており、12月10日に情報の提供と掲載を止める。
ヤフーは、Yahoo!不動産でソニー不動産の物件情報を他社より優先したほうが利益につながることになる。ポータルとしての中立性について宮坂氏は、「ユーザーファーストで考え、生活者に選ばれる情報を前に押す。A/Bテストを繰り返し、データで答えを出していく。現時点でどちらを押すかは考えていない」と説明した。
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