ほぼどんなテレビも、余っているコンピュータモニターも、さらにはプロジェクタでも、HDMI入力ポートがあれば、「Windows 10」デスクトップコンピュータに変えさせることができる。一瞬の早業だ。その仕掛けはというと、新世代のマイクロデスクトップ、たとえば159ドルのIntel「Compute Stick」を手にとって(特大のUSBメモリとさほど変わらないサイズ)、空いているHDMIポートに差し込むだけだ。
こうした極小サイズのコンピュータが、ハンドヘルドコンピューティングという概念に新たな意味をもたらしたことは間違いない。初代Compute StickはCES 2015で予想外のヒットとなり、今回の2016年バージョンは控えめなアップデートとなっている。とうとうフル機能のWindows搭載デスクトップコンピュータがポケットに入るほど小さなサイズに凝縮され、必要に応じて部屋から部屋へと簡単に片手で持ち運べるようになった。新型Compute Stickの米国での希望小売価格は159ドル(概算)だが、実勢価格はそれより下がるだろう。
意表を突いたデバイス設計という最近のトレンドの1つであり、控えめなスティック型を採用している。「Roku」や「Amazon Fire TV」といったボックスも小型化してスティック型になっており、それと同じスリムな形状にデスクトップコンピュータも収まったということだ。ただし、ある程度妥協しなければならない点もある。
Compute Stickやその類似製品は、ハイエンドマシンと同列に扱われるべきではない。むしろ、200ドル前後という最安価格帯のクラムシェル型ノートPCに何とか太刀打ちできる程度だろう。搭載しているのは、低消費電力のIntel「Atom」プロセッサとともに、わずか2GバイトのRAM、32Gバイトという少なさのフラッシュストレージ(その大半をOSファイルが専有)だ。
だが、テレビやモニターを手早くデスクトップPCに変えるという場面で、簡単なウェブ閲覧、動画ストリーミング、ソーシャルメディアといったオンラインベースの使い方以上が必要になることはないかもしれない。そのくらいであれば、Compute Stickのようなシンプルなスティック型PCでも十分こなせるはずだ。
2016年モデルには、初代モデルからうれしい改善点がある。マット仕上げで角に丸みのある、やや洗練されたデザインになった。本体は少しだけ長くなったが、これにはもっともな理由がある。初代モデルのUSBポートは1基だったが、新モデルでは2基(USB 3.0とUSB 2.0が1基ずつ)に倍増した。Wi-Fiアンテナが強化されて802.11acに対応し(初代ではWi-Fiの受信感度が低いという不満が上がっていた)、Intel Atomプロセッサも1世代上の最新バージョン(開発コード名「Cherry Trail」)に変わった。2016年モデルに搭載されていた旧型のプロセッサでも、HD動画のストリーミングは問題なくできていたが、やはりAtomプロセッサでは、世代にかかわらず、1日中使う日常用のコンピュータはできないだろう。
これは、第1世代のCompute Stickや、ASUS「Chromebit」(同様のスティック型のシステムで、Googleの「Chrome OS」を搭載)のように、ミニマリスト的なコンピューティングにおけるなかなかおもしろい試みだ。万人向けではないが、休暇中に持ち歩くPCや、会議に持参するPC(先にすべての「PowerPoint」ファイルを保存しておく)という使い方が考えられる。客間のテレビをミニホームシアターに変えて、動画をストリーミングするのもいいだろう。
レビュー時の価格 | 159ドル |
---|---|
PC CPU | 1.44GHz Intel Atom x5-Z8300 |
PCメモリ | 2048MバイトDDR3 SDRAM 1600MHz |
グラフィック | 128Mバイト(専用)Intel HD Graphics |
ストレージ | 32GバイトSSD |
ネットワーク | 802.11ac無線、Bluetooth 4.0 |
OS | Windows 10 Home(32ビット) |
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス