「SIMフリー時代のモバイルノート」として設計された「VAIO S11」。購入した理由とセットアップまでを、前回の記事で紹介した。年末年始はあまり持ち出す機会がなかったが、その後、仕事がスタートして約2週間。外出時はほぼ毎回、VAIO S11を持ち歩いた。
筆者は直近2年ほどずっと13型クラスのモバイルノートを利用していたため、最初はボディサイズが小さくなったことによるキーピッチの狭さ(厳密にはキートップの小ささ)に手こずったものの、この2週間でミスタイプも減り、それまでとほとんど変わらないスピードでタイピングできるようになってきた。VAIO S11のキーピッチは約16.95㎜で、フルサイズよりも約2mmほど小さいが、1カ月もしないうちに慣れた。
モバイルシーンでの利用は非常に快適だ。電源オフから起動して、露軍画面を表示するまで約9秒。さらにスリープなら約3秒で復帰できる。そして、その後約5秒で内蔵SIMが回線をつかみ、通信が可能となるのだ。これまでのようにルータの電源を入れたり、スマートフォンでテザリングの設定を行ったりといった手間が全くかからない。
このため、筆者は移動時、電車内でメールを入力する頻度が増加した。簡単な返信や私信ならスマホでも問題ないが、取引先に送るメールなどは長文を入力することもある。これまでは自宅かカフェなどの落ち着いた場所でしかできなかった作業が、自動的に回線につながるということで、より手軽にできるようになったわけだ。
また、電車の中や静かなカフェなどで使いやすくなったポイントとして、キーのタイプ音が静かになったことが挙げられる。いわゆる耳障りなカチャカチャ音ではなく、落ち着いた小さめの音となっているため、強めにタイピングしても、周りに迷惑をかけることはなさそうだ。それでいて、キーのクリック感はしっかりとあるのでリズミカルにタイピングできる。
非常に優秀だと感じたのがタッチパッドのパームリジェクション機能だ。これは手のひらの一部がタッチパッドにあたって起こる誤操作を防ぐ機能。同様の機能を搭載するノートPCは少なくないが、VAIO S11のパームリジェクションは非常に優秀で、届いてから1カ月ほどの利用期間に文字入力時にカーソルが飛ぶことは皆無だった。
VAIO S11に装着しているVAIO SIMはNTTコミュニケーションズの協力によって生まれたVAIO オンラインストア限定の通信プランだ。実際に使ってみたところ、低速モードでも最大300kbps超の受信速度を確認。概ね200kbpsを超える速度が出ているようだ。
体感では、電波状態がいい場所だとTwitterは問題なく表示したり更新したりでき、Facebookはちょっと待たされる印象。ニュースサイトなどは写真が多いと遅いが、テキスト中心なら実用的な範囲内という印象だ。ただし、問題は電波状態が悪い場所だ。5本で表示されるアンテナが3本以下になると、一気に通信速度は低下し、ウェブページのリロードにもかなり待たされる。
高速モードに変更するには、付属のユーティリティを起動し、スイッチを入れるだけと非常に簡単だ。しかも、スイッチを入れてわずか数秒でメガ単位のダウンロード速度に変わる。このため、低速モードでメールを閲覧し、添付ファイルをダウンロードするときだけ、高速スイッチをオンにして、ダウンロードが終わったら再び低速モードに戻すといった使い方ができる。
このように細かくスイッチを入れ替えていれば、高速通信容量を使い切る心配はなさそうだ。ちなみに筆者が購入したのは、3年間、高速データ容量128Gバイトのプランなので、月平均で約3.5Gバイト利用できる。年末年始を挟み、持ち出す機会が少なかったとはいえ、利用を始めてからちょうど1か月の時点で、まだ200Mバイトほどしか使っていないことを考えると、かなり余裕がありそうだ。
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