Donald Trump氏の「米国を再び偉大な国に」するという計画には、次期「iPhone」の購入にもっと多くの金額を支払わなければならない、ということが含まれている可能性がある。
ただし、これは、米大統領選挙の共和党最有力候補である同氏の新しい大胆な(ばかげた?)発言を論理的に進展させた結果としての話だ。その発言とは、Appleに中国ではなく米国で製品の製造をさせるというものだ。
「われわれは、Appleにあのようなコンピュータなどの製造を他国ではなく、この米国でさせるつもりだ」とTrump氏は米国時間1月18日、バージニア州にあるリバティ大学での演説で述べた。
Trump氏の発言は、米国内で雇用先を見つけるのに苦労している有権者層に向けて訴えかけることを目的としている。Appleの時価総額は5340億ドルで世界最大だ。同社は、売れ行き好調な「iPhone」、そして「iPad」タブレットや「Mac」コンピュータを米国内で設計しているが、ほぼすべての組み立てを中国の提携企業と工場労働者に依存している(ただし、Macの1モデルだけは米国で製造されている)。しかし、こうした「あのような製品」を米国で製造するには、どれだけのコストが必要なのだろうか。基本コストをおおざっぱに計算しただけでも、Trump氏の考えが実現不可能なオプションで、iPhoneの価格を驚くべき額にする可能性があることが分かる。
話を簡単にするために、iPhoneを組み立てる作業者の賃金だけを見ることにしよう。中国の大手製造業者Foxconnの労働者は、月給として約400ドルを受け取っている(残業代は含まない)とThe New York Times(NYT)は報じている。
Appleがコストを抑えるために、製造工場を米国のワイオミング州やジョージア州に構えたとしよう。両州は米国で最低賃金が最も低く、時給5.15ドルとなっている。1日8時間、週5日働いたとして、米国の作業者は月給824ドル、つまり中国人作業者の2倍以上の給与を受け取ることとなる。もし、Appleが本社のあるカリフォルニア州で作業者を雇用した場合、最低賃金は時給9ドルであるため、月給は1400ドルとなりFoxconnの作業者の3倍を超える。
仮に、作業に必要な技術を十分に持つ作業者が確保でき(実際にはそうはいかない)、それらの作業者が最低賃金で働いてくれる(実際にはそうしてはくれない)としよう。すぐにつじつまが合わなくなる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」