Googleは、既にインターネットがある生活には欠かせないインフラ企業となっている。何か分からないことがあれば、インターネットで検索し、その答えを探る。英語だけでなく日本語でも「ググる」という動詞になっている。
そんなGoogleの2015年は、その枠組みを含めた大きな変化があった。しかし取り組みそのものは非常に堅実なものだった言える。2015年のGoogleについて、5つのトピックをもとに振り返っていこう。
2015年のGoogleを語る上で外せない大きな話題は、会社組織の変化だ。8月に、Googleを傘下に収める持ち株会社Alphabetが設立され、創業者だったラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏、長らくリーダーシップを取ってきたエリック・シュミット氏は、GoogleからAlphabetの事業に注力することになる。Googleの新たなリーダーに選ばれたのは、インド出身のサンダー・ピチャイ氏だった。
今回の組織変更で、Googleの手元に残ったのは、主力の検索事業、Androidなどのモバイル事業などで、一般の人々から考えても「Googleの本業」と納得できる業務に相当する。Google経営陣が本業に集中できるメリットがある一方、好業績のGoogle本体の下に隠れた、チャレンジングながら収益性の低い事業への監視の目を強めることにもなる。
企業体としての健全性を高め、ロボット、自動運転、気球によるインターネット接続などの面白く新しい事業へのチャレンジを、より明確なプレッシャーの下で実現する体制を整える、そんな意味合いがあるのかもしれない。
Googleは2015年にロゴを刷新した。やや細身で丸みを帯びたゴシック体は、モバイルデバイスでの視認性を高めている。こうしたゴシック体へのロゴ刷新はトレンドにもなっており、米国携帯電話キャリア最大手のVerizon Wirelessも同様の雰囲気のロゴに変更している。
Googleの収益はモバイル化への対応とともに、好調そのものとなった。直近2015年第3四半期の決算は、1株あたり5.73ドルとなる39億6000万ドル、売上は187億ドルとなり、アナリストの予測を上回り、前年同期比でも13%増となった。
Google製品は世界で10億人以上に利用されている。広告だけの売上は、四半期で167億8000万ドルに上る。
Googleは同社のモバイルプラットホーム、Androidを擁しており、スマートフォン市場における同OSの世界シェアは常時85%以上を確保している状況だ。しかも、必ずしもGoogleがAndroidを提供していなくても、iOSやその他のプラットホームでもGoogleのサービスは利用されており、たとえAndroidスマートフォンのシェアがiPhoneに圧迫されようとも、すぐにビジネスを毀損するわけではないだろう。
ただ、モバイル対策は今後強化すべき領域だ。モバイルからのトラフィックは増えていくが、スマートフォンのクリック単価はデスクトップやタブレットよりも低い。今後もモバイル化が進行していくと、単価の低さをトラフィックとクリックの量で凌駕する必要が出てくる。その中で光となり得るのは、YouTubeのビデオ広告だろう。
YouTubeは当初、買収額よりも収益性が低いとしてGoogleのポートフォリオの中で批判の対象にもなっていたが、そうした批判は「先見性のなさ」として掃き捨てられるようになった。今後、モバイルとビデオの組み合わせは、Googleのモバイル対策の問題点をより小さくしていくかもしれない。
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