グーグルの2015年を振り返る--改組とイノベーションの継続を色濃くした1年 - (page 2)

(3)Androidの出口戦略

 2015年のスマートフォン出荷台数は、IDCが8月にその成長率を10%台に下方修正するなど、その減速が予測されている。iPhoneは成熟市場に強く、拡大傾向を強めるものの、Androidのシェアもさほど変わらず推移すると考えられている。

 Googleは、2015年に、自社ブランドのスマートフォンNEXUS 5XとNEXUS 6Pをリリースした。NEXUSシリーズは比較的価格を抑えながら、十分な性能を備えるピュアなAndroidデバイスというキャラクターだったが、2015年モデルの2機種は、Androidデバイスの最高峰との呼び声も高いモデルに仕上がった。価格も、日本においては、必ずしも安くない。

 この動きは昨今のMicrosoftにも共通している。すなわち、多くのPCメーカーにWindowsをライセンスしていながら、自社でSurfaceシリーズをリリースし、市場全体が縮小する中でOS開発元が自社デバイスを伸ばす構図だ。

 Googleとしては、高級路線のiPhoneと廉価版のAndroidというイメージをいかに覆すかというイメージ戦略に、NEXUSシリーズを活用し始めたと見ることもできるだろう。

 また、Android Wear、Android Autoといったスマートフォンやタブレット以外のデバイスの整備によって、Androidスマートフォンの魅力を高めようとしている。このあたりも、AppleのiOSが同様の動きを見せている点と同様だ。ただし、Googleには、地図や後述の機械学習といった、Appleに対するアドバンテージが多数存在しており、普及台数とともに、魅力的なサービスへとリーチしやすいだろう。

(4)深層学習の深層

 Googleは11月、「TensorFlow」と呼ばれる機械学習のソフトウェアを無償公開した。手元のマシンで、Googleが持つ機械学習を試すことができるこのソフトウェアの公開は、Googleの機械学習プラットホームの普及とノウハウの集積に大きな成果をもたらすものと考えている。

 Googleは既に、音声認識や画像認識と、これの意味解析などを実際の検索やAndroid等のサービスに導入している。また、メールから航空券の予約メールを発見し、自動的に地図上の地点に予定の日時を表示する仕組みや、スケジュールや現在地などから推測して最適な情報を掲出するGoogle Now、コンテクストに応じてより深い情報を表示するNow On Tapなどを実用化している。

 FacebookやBaiduなども取り組んでいる機械学習の分野を寄り充実させることは、より便利なサービスの提供が可能になるとともに、そのプラットホームを活用したアプリ開発が可能となり、これはどちらかというと幅広いユーザーデータ活用に消極的なAppleのプラットホームに対するアドバンテージとなる。

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