「個人情報はネットには書き込んではいけない」ということは、大人にとっては常識だ。しかし、中高生にとってはそのような意識はほとんどないようだ。
少し前の調査だが、マカフィーの「高校生のCGM(消費者生成メディア)利用実態」調査(2010年)によると、ブログやTwitterなどに約半数の47.3%が自分や他人に関する個人情報を書き込んだことがあり、男子(34.9%)より女子(57.4%)の方が多く書き込んでいる。
書き込んだ個人情報は、自分や他人の状況(31.1%)のほか、自分や他人の写真(21.6%)、氏名(19.6%)となっており、女子高生の約3人に1人が自分の写真を、約4人に1人が自分の氏名を書き込んでいることが分かっている。
SNSが浸透した今、この傾向はさらに強まっている。実際、「顔写真はほとんどすべての子が投稿している。みんな、友だちの写真も(相手に)断らずに投稿している」と複数の女子高生に聞いたことがある。彼女たちは自分の情報だけでなく、他人の情報に関しても気にせず公開してしまう傾向にあるのだ。
今回は、中高生の個人情報に関する考え方や問題点について見ていこう。
最近の情報リテラシー教育では、「自分や友だちの個人情報はネットに書き込まないようにしよう」という項目が含まれていることが多い。ところが、個人情報について理解せず、気軽に書き込んでしまっている子どもは多く見られる。
ある小学校では、「小学生ではまだ早いだろう」と情報リテラシーについての教育をほとんどしていなかったところ、子どもが勝手にネットで知り合った大人にクラスの友だちの名前や電話番号を教えてしまい、問題となった。喧嘩している友だちの個人情報を2ちゃんねるに書き込んでしまった子どももおり、教員や保護者も含めて学校中大騒ぎになったという。
子ども達の多くは、個人情報が市場で高値でやりとりされており、漏らすとどのような被害が起きるかを知らない。また、そのようなサイトはインターネットで広く公開されており、誰でも見ることができるということも分かっていない。それゆえに、このような問題が起きるというわけだ。
LINE公式のQ&Aサービス「LINE Q」は、インターネットで公開されており、誰でも見ることができる。ところが、LINE Qにもタイムラインのスクリーンショット公開があふれているのだ。
LINE Qで検索すると、「うざいタイムラインをスクショしてください」などの、「スクリーンショットを公開せよ」という趣旨の質問が多数見つかる。それに対して多くのユーザーが、タイムラインのスクリーンショットを公開している。トーク内容や写真などはそのまま公開されており、中には名前などがモザイク修正されていないまま公開されているものもある。
LINEは、友だちになってグループに招待されないと見ることができないものだが、彼らは他人の友だちしか見られないはずの書き込みを公開することにためらいがないのだ。
「スクショをタイムラインなどで回すことは普通」と高校2年女子A子は言う。「腹が立つトークのスクショをグループで回したり、仲がいい子の悪口を見つけたらスクショを撮って(言われた当人に)送る」。その結果、悪口を言った子がクラスでいじめられるようになってしまったこともある。通常の悪口ならその場で消えてしまい証拠は残らないが、スクショなら証拠として残り、転送・拡散も可能なため広がってしまったというわけだ。
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