スマートフォンネイティブが見ている世界

タイムラインを“スクショ”してさらす--中高生にとっての個人情報とは - (page 2)

“引用”としてスクショをさらす子どもたち

 Twitterでも同様だ。Twitterで「タイムライン スクショ」で画像ツイート検索をすると、LINEにおけるタイムラインのスクリーンショット画面が多数見つかる。主にLINEで起きたことをTwitterで話題にする際に、「(写真や文字数が多く)Twitterの文字数制限をオーバーするので」「説明が難しいので実物を見てもらいたい」という理由で公開している例が多いようだ。おそらく、「引用」のような感覚でさらしていると考えられる。

 これには2つの理由があるのではないだろうか。1つ目は、Twitterにはツイートごとに固有URLが用意されており、ツイート自体にリンクを張ったり、転送・引用したりすることができる。ところが、LINEにはそもそもそのようなものは用意されておらず、スクリーンショットを撮る以外に公開する方法がない。2つ目は、LINE QやTwitterがインターネットで広く公開されていることを、恐らく理解していないということだ。

 大人には、他人の私信などプライバシーに当たることを勝手に公開してはいけないという感覚があるが、彼らにとってはそのような感覚はない。友人間でもインターネットでも、友だちに話をするようなノリで気軽に公開してしまうというわけだ。

 10代の子たちの間では、ウェブ記事についてもリンクを貼るのではなく、記事のスクリーンショットをシェアすることが多い。普段からスクリーンショットでの共有に慣れているためではないだろうか。他意はないようだが、ウェブサイト側からすればアクセス数を稼ぐこともできず、読まれたことをたどれないため、ビジネスモデルを脅かされる可能性も出てくる。

個人情報の取り扱いについては早い段階の教育が必要

 一般的にメールや電話などの個人情報が流出すると、迷惑なダイレクトメールがきたり、売り込みや勧誘電話が掛かってくるようになる。子どもの顔写真や住所、連絡先などが流出すると、誘拐や性被害などにつながる可能性もある。

 当連載では何度も取り上げているが、今の子ども達は低年齢のうちにインターネットに接続できる端末を与えられ、自由にネットを使える環境にあることが多い。早い段階で、個人情報とは何か、インターネットには個人情報は書いてはいけないことについて教える必要があるだろう。また、個人情報ではなくても、私信に当たることは無断で他人に転送したり、拡散したりしてはいけないことも教えるべきだろう。

 同時に、いつ誰に保存・コピー・転送・拡散などをされるか分からないため、自衛のために他人に見られて困るようなことは書かない、投稿しないことも子どもに教える必要がある。現代における情報リテラシーとして、子どもに身に付けさせていく必要があるだろう。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]