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銀行で芸能人の個人情報が漏洩--なぜ若者はTwitter炎上を起こすのか

 「母が帰ってきたら大倉くん情報たくさん頂こう。住所はざっくりとはさっき電話で教えてもらったし」「この前母は西島秀俊さんの免許証顔写真のコピーをとってきた笑」――6月8日、りそな銀行中目黒支店に関ジャニ∞大倉忠義さんが来店したという情報がTwitter経由で流出するという事件が起きた。

 ツイートしたのは20歳の女性だが、ツイートから行員である女性の母親が個人情報を漏らしていたことが判明。さらに同行員は、過去にも俳優の西島秀俊さんの運転免許証をコピーしたり、SMAPの中居正広さんとマネージャーが遺産手続きのために来店したことなども娘に伝えていた。重大な個人情報の漏洩事件として、Twitterは炎上。りそな銀行が正式に謝罪する事態に陥っている。

  • りそな銀行が正式に謝罪する事態となった

 娘は元アカウントを消して新しい鍵付きアカウントを作り、「すんげ叩かれてるwwwww」「徐々にこっちに変えていく!んで水曜に元垢(アカウント:筆者注)はおさらばです」など、反省の色を見せていない。その結果、ツイートした娘や母親の個人情報や顔写真が出回っている状態だ。

 父親もりそな銀行勤務という噂もあり、いずれにしろ父母だけでなく銀行の役員クラスが責任を問われる可能性がある事件であることは間違いない。それだけの炎上事件を起こしたにも関わらず、発覚後も「アカウントを消せばいい」と軽く考えている娘の危機感のなさに驚かされる。

 過去にも、コンビニの冷蔵庫に入った写真をアルバイトがSNSで公開したことによる炎上事件などの通称「バイトテロ」、有名人が来店したことに舞い上がってSNSに投稿したことによる炎上事件、他人を差別したり見下したりした投稿による炎上事件など、10代を中心にした炎上事件は後を絶たない。

なぜTwitterは炎上しやすいのか?

 ダイヤモンド・オンライン調査(2013年10月)によると、炎上の対象となったソーシャル媒体は、「Twitter」が52%と半数以上を集めてトップ。「mixi」「個人ブログ」が16%、「その他」が10%。炎上の原因は、「他人への攻撃」が一番多いという結果になった。他のメディアでも炎上は起きるが、Twitterでの炎上が圧倒的に件数が多くなっている。それはなぜなのだろうか。

 Twitterは匿名で利用できる。それゆえ、油断して問題ある投稿をしてしまう傾向にあるのだ。さらに10代のユーザーは、TwitterをLINEと同様、友だちとのコミュニケーションツールとして利用する傾向にある。ところが、友だちになったりグループに招待されないとトークが読めないLINEと違い、Twitterは基本的に全体公開であり検索対象となるため、炎上しやすいのだ。

 大学1年生A花は、Twitter中毒を自認している。息をするようにツイートするので、すでにツイート数は18万件を超えている。A花は、テストを写真に撮って投稿したり、未成年飲酒を投稿したこともあり、炎上しなかったのは奇跡という他はない。教員にも注意を受けているにも係わらず、「Twitterでの投稿はやめられない」と言う。Twitterが自分のアイデンティティであり、フォロワーからのリアクションがすべてになっているためだ。

 「友だちやフォロワーからリアクションがほしい」ということが第1の目的になっているため、ウケを狙った写真などを投稿し始める。それが過激化して炎上にもつながっていく。なお、最近多い盗撮写真の公開はTwitterの規約により禁止されており、違反するとアカウント停止処分になるので注意が必要だ。


盗撮写真の公開はTwitterの規約により禁止された

炎上が起きる心理と炎上のパターンとは

 炎上にはパターンがある。主に以下の2つに当てはまる場合が多い。

  1. 犯罪自慢(窃盗、暴力、破壊行為など)
  2. 誰かが不快に思う行為・発言(モラル・マナー違反、守秘義務違反、迷惑行為、誹謗中傷、差別など)

 中でも、芸能人やタレントなどの著名人が関係していたり、犯罪・違法行為絡みだったり、炎上対象者が著名大学在籍中や一流企業の内定をもらっていたり、有名チェーン店などが係わっていたりする場合は、話題性が高いため、炎上の規模が大きくなる確率が高いようだ。

 炎上するベースには、「正義感」や「大義名分」があることが多い。前述のダイヤモンド・オンラインの調査によると、「炎上に参加して、対象者を『懲らしめよう』という人に賛成できる?できない?」という質問に対し、何と全体の約4分の1にあたる23%の人が「賛同できる」と回答している。彼らは、炎上対象者を「懲らしめよう」「見せしめにしよう」という意図で炎上させているのだ。しかし、それが本当の正義感によるものでないことは、罪の多寡ではなく話題性で炎上するかしないかが決まる傾向にあることからも分かる。

 誰も被害者がいなくても、攻撃される口実があれば攻撃される。リアルタイム検索などで積極的に問題のある投稿を探し出し、たとえ匿名で利用していても個人を特定してさらしあげようとする人がいるのだ。

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