エージェントの育成においては、Rumaのスタッフがアプリの使用方法などサービスの提供ノウハウを直接トレーニングする。また定期的にエージェントのもとを訪問してミーティングを実施し、彼らの意見を取り入れるようにしている。このような農村部やエージェントに寄り添う形も、現地の人々に受け入れられる理由と言えるだろう。
アジアの新興国では、大規模なショッピングモールの開店が相次いでいるが、インドネシアの農村部には個人が経営する商店や病院が多くあり、「ローカルトラスト」がいまだ根強く残っている。住民も既知の信頼できるエージェントがサービスを提供しているからこそRumaを利用しているのだろう。
RumaのCEOは、ジャカルタの裕福な中産階級で生まれたHaryopratomoさん。子供のころ、貧しい農村部の子どもたちとよく遊んだり、道路建設会社勤務の父からインフラが普及することの重要性を聞かされて育った経験から、社会に大きく貢献することがしたいと思うようになったという。
米国インディアナ州のパデュー大学でコンピュータの学位を取得したのち、会計事務所のアーンスト・アンド・ヤングでコンピュータセキュリティコンサルタントとして活躍。その後、マイクロファイナンス事業を展開するKivaに転職し、そこで貧しい農村部の現状やマイクロファイナンスの可能性を探るためインドネシアとベトナムをバイクで駆け回った。
Kivaに勤務していた当時にハーバードビジネススクールで経営ノウハウを学び、MBAを取得。そして2009年にグラミン財団やインドネシアの保険、不動産、食品など幅広く手がけるGunung Sewuグループなどからの出資を受けて首都ジャカルタでRumaを設立した。
Haryopratomoさんは、現在でも定期的に農村部のエージェントやサービス利用者に自ら会いに行き、話を聞いている。「何かを決断するとき、熱い思いが重要な鍵となる。その熱い思いを持ち続けるために、エージェントやサービスの利用者の隣に座り、彼らが考えること、感じること、必要としていることに耳を傾け理解することを大切にしている」と、過去にBBCの取材で語っている。
ローカルトラストとインターネットの力で農村部の人びとを豊かにし、農村部からのマイクロアントレプレナー輩出を実践するRuma。現在ではジャワ島全土に50以上の支社を構え、インドネシアのローカルビジネスをより一層盛り上げようと奮闘している。
(編集協力:岡徳之)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス