しかし、iMacの4Kのような、より高解像度のスクリーンには、ほかの利点もある。2014年の27インチiMacに採用された5Kディスプレイでわれわれが目の当たりにしたように、肉眼で個々のピクセルを確認するのは事実上不可能だ。スクリーン上の文字は、解像度の低いスクリーン上のものと比べて、より鮮明に、綺麗に見える。そして、Appleの巧みなスケーリングにより、アプリやメニュー、アイコンは常に適切なサイズに維持される。さらに、ユーザーは複数の異なるスケーリング解像度のルックアンドフィールを擬似体験することもできる。これは、Appleがすべての「Retina」ディスプレイ搭載モデルで使ってきたのと同じシステムで、「MacBook Pro with Retina display」まで遡る。
だが、新型iMacで注目すべき点は、解像度の向上だけではない。新しいRetinaディスプレイは、一般的なsRGB(standard Red/Green/Blue)色域ではなく、より広いP3色域をサポートする。分かりやすく説明すると、新型iMacのディスプレイは、表示できる緑と赤の色域がsRGBより広い(光の三原色の残りの1つである青は、RGBで既に限界にかなり近づいている)。Appleによると、P3の採用により、ディスプレイに表示できる色が最大25%増えたという。
P3は劇場でのデジタルシネマ映写における標準規格である。一部の写真のプロ、映画や動画の専門家にとって、P3のサポートは極めて重要なことかもしれない。趣味で写真を撮っている人は、おそらく違いを見分けることはできないだろう。なぜなら、広いP3色域を利用できるファイルをユーザーに提供するコンシューマー向けの機器はほとんどないからだ(ただし、一部のデジタル一眼レフカメラはこの機能を備える)。しかし、いくつかのサンプル画像を並べて比較してみると、その違いはわずかだが素晴らしいもので、赤と緑の鮮やかさが増していた。また、Appleの写真アプリ群や、「Photoshop」などのサードパーティープログラムはすべて標準のsRBGをはるかに上回る色をサポートする。
Appleの新型21.5インチiMacの外観がここ数年のモデルと全く同じに見えるのは、少しも意外なことではない。iMacの基本的なデザイン言語は2012年からほとんど変わっていない。iMacは、アルミ製のスタンドとミニマリスト的な基部の上に背面が湾曲した薄型スクリーンが鎮座する現在の構造を2012年に採用した。それから何年も経った現在でも、この外観はなぜか新鮮に感じる。
しかし、iMacのお馴染みの凸型の筐体内では、2015年モデルにスペック面でいくつかの重要な変更が施されている。3種類の21.5インチモデルのすべてで、Intelの第4世代「Core i」シリーズプロセッサから新しい第5世代チップへのアップグレードが実施された。これらのiMacはこれまで、CPUが2世代後れていたため、この変更は重大である。ただし、すべてのモデルで高解像度5Kディスプレイを採用するようになった27インチiMacだけが、Intelの新しい第6世代「Core」チップ(「Skylake」という開発コード名でも知られる)の最新CPUへのアップグレードを果たしている。
21.5インチiMacが今も1世代前のチップを搭載しているのは、残念なことである。2015年のホリデーシーズンに発売予定のほぼすべてのコンシューマー向けPCがSkylakeチップに移行することを考えると、なおさらだ。しかし、デスクトップシステムの場合、Intelチップの世代が変わっても、実際のパフォーマンスはそれほど変わらないため、これはそれほど重要なことではない。アップグレードの効果が最も顕著に現れるのは、バッテリ持続時間である。そして、オールインワンのデスクトップの場合、それは問題にはならない。
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